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『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』は新しく事業を始める方に必読の本

 新しく事業を始めようと考えている方、不安や迷いはありませんか?そんな方へ、未来への勇気や活力が湧いてくる本があります。それが、今最も注目される起業家、投資家であるピーター・ティール氏が書いた書籍「ゼロ トゥ ワン」です。アメリカのスタンフォード大学の学生向けに行った起業についての講義を書籍化したものです。ピーターは「人生は運に左右されないし、未来はコントロールできる」と力強く訴えますが、まさに新たに事業を立ち上げようとする方には、勇気だけでなく実用的にも優れた本となっています。本記事では、すぐにこの本を読めないという方でも、その内容が簡単にわかる内容になっています。

著者ピーター・ティールとは

 著者について紹介します。ピーター・ティールは、一言で言えばシリコンバレーの超大物で、政界にも影響力のある事業家、投資家です。1998年にPayPalを共同創業してCEOに就任し、2002年にはPayPalを15億ドルでeBayに売却しました。その後も、初期のFacebookに投資をして莫大な資産を築くことになりました。なお、初期のPayPalメンバーは、シリコンバレーで現在も大きな影響力を持ち、「ペイパルマフィア」と呼ばれています(テスラのイーロン・マスク、YouTubeのスティーブ・チェンなど)。

 また、ピーターは、トランプ前米大統領の政権移行チームのメンバーとしても脚光を浴びました。トランプ前大統領は就任早々、IT業界のトップたちを集めた会合を開きましたが、このときピーターは大統領の隣に座っていたほどの重要人物でした。

 このようにピーター・ティールは、超大物で、かつ、非凡な成功者といえます。そんな人の書いた本であるから、一般の方はなかなか手に取りづらく、読んでも意味がなさそうに思えます。しかし、この本はそんな予想を裏切るものです。基本的には起業に関する内容ですが、社会や現実の本質を突く内容になっており、技術革新の目まぐるしい現代、すべての人に根本的な気づきを与えてくれる内容となっています

 成功者が自身の口から語る成功の秘訣には、一般の人には非常識なものもありますが、この本を読み解けば、成功者の真の成功の秘訣を知ることができます。

『ゼロ・トゥ・ワン』では何が語られる?

 それでは、この本の内容についてご紹介します。

 ピーターは、タイトルにもある通り<君はゼロから何を生み出せるか?>と私たちに問いかけます。この問いは、本書でも中心的なテーマです。全てのビジネスマン、特にクリエイティブな仕事に関わる方には必須の内容となっています。

<賛成する人がほとんどいない、真実は何か>

 変化の激しい現代において、流行に流されず隠された大切な真実は何であるかこの問いをどんなときも追求していくことこそが成功の秘訣です。そしてこの問いかけの根底には、ピーター自身のより良い未来を創りたい、新しい未来をみてみたいと言った強い思いが表れています。

<独占を目指す>

 起業家が最も自問すべき重要な問いは、”このビジネスは10年後も存続しているのか”、ということです。ピーターは、現代のベンチャーは短期成長を目指し過ぎていると説きます。そして、競争を避けて独占を築くことを訴えます。この本では、PayPalでのケース事例などを交えて詳しく紹介されています。

<逆張りの原則>

 ゼロトゥワンでは、<逆張り>が良く出てきます。要約すると、①小さな違いを追いかけるより大胆に賭ける、②出来の悪い計画もないよりはまし、③激しい競争市場では収益は消失する、④プロダクトと同じくらい販売が大切だ、ということです。

 よくベンチャーの成功の秘訣は、いち早く立ち上げて、PDCAサイクルをスピーディーに回すことと言われていました。ライバルの要素も取り入れて改良を続けることが肝心ということです。しかし、ピーターはこれとは逆のことを言います。最近のベンチャーは、短期的な成功を優先し過ぎているきらいがあります。流行りは既に競争過多であり成功の余地は少ない、他人と同じことはするな、ということです。

<あいまいで楽観的な世界>

 この本の面白いところは、ただの起業論だけでなく、著者自身の生き方や人生観を知ることにもあります。この「あいまいで楽観的な世界」はアメリカのことを示し、そんな世界でどう生きるべきか、冷静に、しかし熱く語られています。その語り口から、読み手も「自分たちもできるかもしれない」「未来は自分たちで築いていくもの」と活力がみなぎってきます

 事業家には明確なビジョンが必要です。例えば、2006年、ヤフーがFacebookに買収を提示したとき、対応したマーク・ザッカーバーグの興味深い言動が紹介されています。ザッカーバーグは起業家としてその事業をどうしたいのか、明確なビジョンを持っていました。

<「べき乗則」になぜ気づかないのか?>

 <べき乗則>とは、一握りのベンチャー、スタートアップがその他すべてを大幅に上回る利益を出すことです。ピーターはこの重要性を指摘します。一般的に常識とされている考えは、<ポートフォリオの分散>というもので、リスクの分散にあります。しかし、ピーターは、最も成功した案件はその他のすべてを合わせたリターンと同じかそれを超えることから、リスクを分散して標準化されたリターンに期待することは間違いだと強調します。

 そしてこの隠された真実は、投資家だけではなく、すべての人に当てはまる法則だといいます。例えば、学校での一般的教養の教育の必要性を否定しています。潰しのきくような教育では、何もしないのと同じということです。

 これだけ聞くとピーターは無謀な生き方を強調しているように聞こえるかもしれません。しかし、ピーターはこうも言っています。<非凡な才能を持っていたとしても、起業がベストとは限らない>ということです。起業独立それ自体にこだわる必要はなく、重要なのは、常識にとらわれず隠された真実を見通すことこそ大切なのです。

 実は本書には、絶対的な答えが書かれているわけではありません。ピーターの考えを通して事実を見極め、新たな一歩を踏み出すことに役立つ内容になっています。「絶対の答え」を強引に提示せず、真摯に語ることも本書の魅力の一つです。

まずは没頭してみる

 ピーター・ティールによると、成功の秘訣は<べき乗則>、すなわち<ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝ること>です。これを簡単にいうと、「自分が熱中したり得意なことに没頭すること」とも言えます。

 熱中したこと、夢中に取り組んだことの積み重ねや試行錯誤が、他人との差異・自分らしさになり、「ひとつのことが、すべてに勝る」結果につながるのです。

おわりに

 『ゼロ トゥ ワン』の内容を簡単ではありますが、ご紹介させて頂きました。もちろん、ご紹介した内容は本書の魅力の一部にしか過ぎません。新しく事業を始めようと一歩踏み出す方は、是非本書を手にとってみて下さい。事業を始めるときには、ご自身が実現したい未来があると思います。その未来が自分の手で成し遂げられる、そんな勇気とノウハウが得られる内容となっています。

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