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パートナーベンダを見直すときに考えるべきこと

 この記事では、パートナーベンダの見直しをするときに考えるべきことをご紹介するものです。どうしてユーザー側は関係を見直したいと思うのか整理し、どのようなベンダを選ぶべきなのか考えたいと思います。

パートナーベンダとの関係を見直したいと思う背景は?

はじめに

 パートナーベンダとの関係の見直しを考えるとき、ここでうパートナーベンダとは、一時的に特定の業務依頼を行うベンダをいうのではなく、長期的な関係を持ち自社の情報システムとも親密な関係のあるベンダをいいます。

 一般的にベンダの見直しを考える機会として挙げられるのは、大規模なシステム開発が必要になったとき、例えばオープンシステムに移行するときなどです。しかし、そいういう場合以外にベンダを変更したいと考えるとき、よほどの理由があることが伺われます。パートナーベンダの変更は、長年慣れ親しんだ関係をゼロにすることですから、ユーザー側が失うものも大きいです。そのコストをとっても見直したいという場合、どういった理由・背景があるのでしょうか。

1 惰性で仕事をしてしまう

 ユーザー側が不満をもつ背景の1つが、「ベンダー側から積極的な提案がない」「見積もりも他社よりも魅力的なものを出してこない」など、長年の関係性にあぐらをかいているような態度が挙げられるでしょう。確かに、長く関係のある取引先であれば、緊張感を欠く態度になることもあるでしょう。しかし、ベンダ側としては、既存の顧客を逃がすと、新たなユーザー探しをすることになり、コストもかかります。この重みを十分承知しているベンダであれば、既存ユーザーにも手を抜かずに応対するでしょう。そのようなことをできないベンダであれば、ユーザー側もパートナーベンダとしての関係を解消してしまいたいと思うのも無理はありません。

 しかし、このような不満は、案外ユーザー側の態度の変革で解消するかもしれません。ベンダーがやる気をもって積極的提案をしないのは、日頃からユーザー側の方から自社の要望やこれからの展望を伝えていないからではないでしょうか。また、自社の情報システム部門が閉鎖的で経営部門の動向などに鈍感になり、ベンダー側に自社の方向性を伝えていない、全くの蚊帳の外に置いているということはないでしょうか。このような関係であれば、ベンダーも新提案を出したくても、ユーザー側の課題や要望を本当の理解ができずに、提案もできなかったり、ユーザー側の求めていない提案をしていることになります。自社でこのような慣行があれば、まず、自社の問題意識や課題、要望などを、ベンダー側と共有してみてはいかがでしょうか。ベンダーに経営のパートナーとしての自覚を持たせるためにも、必要なことです。

 さらに、不満の背景として、「ベンダーが自社に有利な提案しかしてこない」というものがあります。確かに、ベンダーも営利目的の企業である以上、自社有利の案内をするのも無理ありません。しかし、自社製品しか推奨してこないベンダーであれば、ユーザーとの相互関係を無視した片面的な関係となり、真のパートナーとはいえません。ベンダがこのような認識の場合、その認識を変える必要があります。まずはユーザー側から、「ベンダーの推奨するものよりも、他の製品やサービスの方が自社としては良いと思っている」など、日常的に意見交換を持つ機会を持ちましょう。そうすれば、ベンダーの意識も変わり、自社に有利な提案ばかりしていては相互に戦略的なパートナーにはなれないと認識を変え、相互に有利な提案をしてくるなど期待できます。

2 情報システム部門の仕事の見直し

 ベンダーの変更を考える契機としては、自社の情報システム部門の在り方の見直しが挙げられるでしょう。

 現ベンダーから新ベンダーに変更するとなると、ハードウェアやソフトウェア、開発や運用面などの変更で、自社情報システム部門には大きな負担が生じます。こうした理由から、ユーザーの情報システム部門においてはベンダーの変更に難色を示す場合が多いでしょう。しかし、変化の激しい現代において特定のベンダに依存し続けることには一定のリスクがあります。

 そのため、特定のベンダとの関係を続けることの問題点はないのか、また、将来ベンダを変更するとした場合の手続き移行についても予め準備しておくといった体制づくりは不可欠です。さらに、ユーザーの情報システム部門を含む企業全体の情報戦略・資源の配分など検討しても良いでしょう。社会の変化に対応できるために、自社の経営上の観点からベンダーとの関係見直しも重要となってきます。

どのようなベンダに変更すべきか?

 以上のように、ベンダを見直すべき理由や背景があるとして、ベンダを実際に変更しようとする場合にはどのようなベンダを選べば良いのでしょうか。

1 標準とすべき基準はない

 はじめに、知っていただきたいことですが、パートナーベンダを選ぶ際の共通の基準はありません。ユーザー企業も様々であり、ベンダに要望する基準なども様々だからです。一般的には過去の業績や、財政状態、技術力などが尺度にはなり得ますが、これだけで信頼関係を築ける相手かどうか判断することは難しいといえるでしょう。そこで、今回ご紹介するのは、ベンダ企業の対外的な事情や内容よりも注目すべきポイントがあるといえます。ベンダを選ぶ際の過程や、定型的でない基準によって、より良いベンダが見つけられないか考えてみましょう。

 なお、特定の業務についてだけベンダを選定する場合もあります。この場合、その特定業務に精通しているベンダを選定することになります。しかし、そのベンダの仕事ぶりが評価できたとしても、必ずしも長期的に関係を持つベンダーとして適切とは限りません。専門性が高いことから、他業務については不得意であるのであればパートナーベンダとしては不適切でしょう。

2 公表されていない事情からベンダを知る

 世間には数多くのベンダ企業があります。まずは、ベンダから公表されている決算報告書、ベンダ総覧などにより、ベンダの実績、得意・不得意分野、社員の資格取得状況、経営状態の安定性などから、自社のニーズに合ったベンダを絞り込んでみましょう。

 しかし、これだけの情報からパートナーを選定するには不十分です。ここでさらに重要なのは、「ベンダの生の評価や、実情を知ること」です。実際にベンダのユーザーを訪問して話を聞いたり、ベンダ側から直接話を聞くことが大切です。

 ベンダのユーザーの意見を聞くときには、「トラブルがあったときにベンダはどう対応してくれたのか」とか、「ベンダ側からはどういった立場の人が対応してくれるのか」など具体的に質問してみることが大切です。具体的な話を聞くことで率直な意見を聞くことができるのです。また、ユーザー側の情報システム部門の社員の声も重要です。彼らは実際に日頃からベンダ側とやりとりをしているので、具体的なベンダとのやりとりについて意見を聞くことができるからです。

 また、ベンダ側から話を直接聞くときは、経営者の理念や経営方針を確認しましょう。パートナーとして上手に付き合っていくうえで、お互いの経営方針が相反してはパートナーにはなり得ませんし、経営方針に共感できるとお互いに良い関係を維持できると期待できるからです。

3 実際に作業を行うベンダ側社員の質

 ベンダ企業自体の実績があったとしても、実際に作業を行う個々の担当社員が常に優秀な人材とは限りません。ベンダもあくまで人の集団なので、社員の能力にバラつきがあることが普通です。また、契約条件がベンダ側に有利な場合には、そういったユーザーに優先的に自社の優秀な社員を担当させることが多いでしょう。

 いざパートナーとして契約したものの、実際に担当してもらった社員の質に不満を持つことは避けたいです。そこで、予めベンダ側の有資格者の割合はどれくらいか調査した方が無難でしょう。また、ベンダとの契約締結に向けた交渉段階から、自社のニーズに合った適切な担当者をつけるように交渉しておきましょう。もちろん、最初は優秀な担当者がついても、別の担当者に変わってしまうこともあるでしょう。しかし、当初から優秀な人材に担当してもらうと、ユーザー側としてもベンダ側に人材の質の維持を求めやすいですし、ベンダ側も同じレベルの人材を派遣するように努めるでしょう。

4 資格などを偏重し過ぎない

 先ほど述べたように、ベンダ側の有資格者の割合なども選定基準の一つの参考になることは触れました。しかし、資格だけを偏重し過ぎるとベンダ選びに失敗する可能性があります。

 資格は一定の判断要素になる

 確かに、ベンダ側の社員が資格を持っていることは、資格を取るために必死に勉強したことから一定の質は保証されているといえます。そのため、資格を持っているかどうかは無視できない選定基準でしょう。

 しかし、なかにはベンダ内で資格を問われないくらい優秀であるエンジニアもいます。また、ユーザー側が資格の内容やレベルを理解していないと、優秀なベンダを取り逃がしたり、劣悪なベンダと契約することにも繋がりかねません。そのため、ユーザー側自身が資格の内実を知っていることが前提といえます。

 ITSSを参考にする

 ITSSも一つの信頼できる目安です。これは、「ITスキル標準(ITSS)」といって、IT関連サービスの提供に必要な実務能力を明確化・体系化した指標です。経済産業省が策定・公表していて、ITサービスプロフェッショナルを育成・教育のために有用な共通枠組みです。

 ベンダ内の社員が、「上席マネージャー」や「プロジェクトリーダー」と名乗っていても、実際どのような能力・スキルがあるのかはわかりません。しかし、ITSSでの職種と専門分野とレベルは評価の尺度としては有効です。多少のばらつきはありますが基準としても明確であるので、信頼性は高いといえます。

 資格で測れないもの

 プロジェクト全体の成功は、作業をする個人の能力だけではなく、全体を統括するリーダーに負う部分も大きいです。しかし、こうしたリーダーとしての適格は個別の資格では測れません。リーダーの適性のある人物かどうかの評価は結局はコミュニケーションを通じて人柄や考え方を知るほかありません。

まとめ

 パートナーベンダを見直したい契機や背景、そして見直すとしてどのようなベンダが良いのか考える要素はどのようなものか、考えてきました。ベンダの見直しにおいて少しでもお役に立てればと思います。

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