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オフショア開発とはー各国の比較と注目されるベトナムでの開発

 オフショア開発のことはご存じでしょうか?日本企業の約46.5%に経験があると言われています。これまでオフショア開発の中心は、インド・中国だったのですが、今最も注目されているのはベトナムです。この記事では、①オフショア開発国の比較調査、②オフショア開発の実際の相場と必要な費用、③オフショア開発企業選びのポイント、など3点を中心に、オフショア開発の国別比較までご紹介します。

「オフショア開発の各国の特徴を知りたい」「どんな企業にオフショア開発の相談をすればいいのか分からない」「ベトナムのオフショア開発ってどんな感じ?」などの疑問にもお答えしていきます。

オフショア開発とは何か

 オフショア開発とは、海外の企業や人材を活用して、主にソフトウェアやWEBシステム、アプリケーションなどの開発業務を外注して行うことをいいます。「オフショア」とは、「Off Shore」のことで、Shore(=岸)から、Off(=離れた)、要は「海外」という言葉に由来したものです。日本でも近年では、サイト制作やAI開発の場面でもよく見られるようになってきました。

ニアショアとオフショア

 ニアショアという言葉を聞いたことがあるかもしれません。ニアショアは、オフショアとは異なり、システムなどの開発業務を、比較的近い場所の企業に外注することをいいます。ニアショアは主に国内の地方都市にある企業に行います。ニアショアには、国内で委託するため、言葉の壁は問題にならないという利点があります。

オフショア開発の類型

 オフショア開発の契約類型には、請負型開発とラボ型開発があり、その特徴は下記のとおりです。

 

請負型(一般的なオフショア開発はこちら)

準委任(ラボ型開発)

開発費用

低め

高め

開発期間

短期間

長期間

開発の柔軟性

基本的には途中変更は難しい

柔軟な対応が可能

コミュニケーションの有無

基本的には、プロジェクトマネージャーが開発チームと直接コミュニケーションを取る

ブリッジSEと呼ばれる、エンジニアがプロジェクトマネージャーと開発チームの橋渡し役となる

 請負型開発とは

 請負型開発(受託型開発)は、システム開発の明確な目標・目的があって、それを満たした(結果を出した)ことに対して報酬を支払う契約です。ほとんどのオフショア開発はこの請負型開発で、短期間に低コストで開発したいときに用いられます。

 ラボ型開発

 ラボ型開発(準委任契約)は、顧客専用のチームを用意し、一定期間(およそ半年から1年間)、開発を行うという契約のことです。長期にわたってチームで作業をしてエンジニア採用コストなどを抑えたい場合に用いられます。アプリ開発やECサイト制作などでも利用されます。開発側は納品が完了して業務を終了します。契約時には、事前に完成責任や、瑕疵担保責任を確認しておくことに注意が必要です。

オフショア開発国を比べてみる

 様々な国でオフショア開発は行われています。それぞれの国の特徴を紹介します。

 

ベトナム

中国

インド

シンガポール

フィリピン

コミュニケーション能力

日本語・英語

中国語・英語

英語

英語・日本語

英語

平均月人単価

32.26 万円

38.13 万円

38.65 万円

32.6万円

33.72 万円

スキル・開発能力

高い

高い

高い

高い

不安定

今後の動向

安定

人件費高騰

人件費高騰

人件費高騰

安定

採用の難易度

低い

高い

高い

低い

高い

開発スピード

普通

早い

早い

不安定

不安定

親日性

安定

不安定

安定

安定

安定

 この表を見てわかるように、かつて有名だったインドや中国は単価が比較的高くなっていて、コストカットのための選択国としては合理的ではなくなってきました。近年注目されているオフショア開発国は、インドや中国に代わり、ベトナムです。ベトナムは日系企業が多数進出しており、日本語でのコミュニケーションも可能となっています。さらに、月人単価のコストカットも期待できます。まだ技術力ではIT技術で先進していたインドや中国には劣ってはいるものの、十分魅力的なオフショア開発国となっています。オフショア開発するとなった場合、まずはベトナムを拠点とする企業に相談してみましょう。

ベトナムと日本での開発の比較

 

日本のエンジニア

ベトナムのエンジニア

コミュニケーション

日本語

日本語と英語

人件費(人月単価)

90万円~

30万~

スキル・開発能力

不安定

安定

開発スケジュールの柔軟性

柔軟

大規模な仕様変更には向かない

採用の難易度

高い

日本と比較すると低い

スピード感

採用能力による

採用能力による

 上の表のとおり、日本とベトナムでのオフショア開発を比べると、人件費や採用の難易度が異なることがわかります。ベトナム企業にオフショア開発を依頼すると人件費を大きく抑えられ、日本人エンジニアの採用よりも採用難易度は低く、優秀なエンジニアを確保することが容易になるといえます。

オフショア開発のメリットとは

 これまで各国の比較をしましたが、そもそもオフショア開発のメリットは何か、整理してご紹介いたします。

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1 優秀なエンジニアを確保できる

 日本では、実際の現場で自力で開発を進めることができるほどのスキルをもった人材に巡り合うことは難しいです。日本でもプログラミング学習などが浸透してきてはいますが、まだまだ優秀な人材の確保は厳しいのが現状です。

 しかし、世界にはオフショア開発が進んでいる国が多く、十分なスキルを備えた人材が多いです。また、海外の人材は、英語圏や中華圏の国で最新の情報に触れる環境にいることも多く、そこでの豊富な知見を得た人材です。さらに、オフショアの委託を受けた企業は、これまでも様々なプロジェクトを経験し、優秀なエンジニアを揃えたり、人材育成がなされており、日本で開発するよりもずっとエンジニアの採用が容易で、開発が進みやすいのです。

2 人件費のカットができる

 また、オフショアの大きな魅力は、人件費が安いことです。日本でエンジニアやコーダーを採用しようと思うと、募集の広告費、人材紹介業者への支払い、エンジニア、コーダーに実際に支払う人件費など諸々の費用がかかります。さらに日本では、プロジェクト単位でのエンジニア採用は少く、もし費用をかけて採用に至ったとしても、社内文化などに合わないこともあります。日本人エンジニアの場合の人件費は、一般的に 人月単価90万円~と言われています。一方、オフショア開発の場合は、人月単価30万~円前後とかなり安くなっています。日本に比べてかなり低い人件費に抑えることができます。

3 コストカットができるので、プロトタイプの開発も容易になる

 オフショア開発では、プロダクトの試作品やプロトタイプの開発も試みやすいというメリットがあります。これは、オフショア開発では、人件費や工数の削減ができて開発全体のコストを抑えることができることに理由があります。

 また、オフショア開発ではプロジェクトごとの契約ができます。そのため、プロジェクトで失敗した際の撤退コストや、サンクコスト(既に投資した事業から撤退しても回収できないコストのこと)を下げることも可能となります。

 さらに、プロジェクトがエンジニアの採用で遅延したり、スキルの確認などに時間をかける必要がないため、スピード感をもって開発することもできます。早急にプロトタイプが必要な場合や、日本人エンジニアの採用が滞り事業が進まない場合にも有効な手段です。

どうやってオフショア開発企業を選ぶか

 オフショア開発を利用しようと思ったとしても、開発企業数は多くあります。オフショア開発企業の選択について、大きく以下3つのポイントから検討しましょう。

1 現地と日本両方の事情に詳しい企業に相談する

 日本ではなく海外に開発を委託するわけですので、当然日本と現地で商習慣が異なってきます。そのため、日本と現地両方の商習慣や文化風土を理解した企業にオフショア開発について相談したうえで、開発企業を選択すると良いでしょう。

2 オフショア開発企業のこれまでの実績を確認

 まず、システムなどの開発では、オフショア開発に向いていないもの、向いているものがあります。オフショア開発に向いている開発としては、①既存の自社ITサービスの開発、②ECサイトやコーポレートサイトの制作などの定番の開発、③AI開発や画像解析システムといった複雑な設計が必要な開発、④Saasなどのベンチャーやスタートアップでの新規アプリの開発などです。これらを中心にオフショア開発を検討しましょう。

 また、オフショア開発企業の開発実績は、アプリ開発や、サイト制作、AI開発など大きく異なるケースがあります。このようなことが起きるのは、所属しているエンジニアの質が各企業で異なるからです。システム開発でも単純なものにしか対応できない企業もあれば、AI開発や画像解析といった高度な技術にまで対応できる企業もあります。開発企業にどんな実績があるのか確認し、自社プロジェクトと同じような実績があるか確認することが必要不可欠です。

 さらに、オフショア開発では、数学的な処理やコーディングなど世界共通で行うことができる開発を委託することにあります。例えば、日本は独特な美的感覚を持っていると言われており、デザイン制作などの感覚的作業は不得手とされています。そこで、デザインは日本側である程度おこない、オフショア開発企業に設計や開発の部分を任せることで、より効率的な開発が可能です。

3 エンジニアのスキルのレベルを確認しておく

 オフショア開発では自社開発に比べて、スピードを重視するため、エンジニアの教育に時間をかけることができません。そのため、短期間のプロジェクトほど、現地企業のエンジニアのスキルレベルのチェックが必要となります。スキルチェックすべき点は3つです。

①使用言語の習熟度や過去の開発コード実績 

②コミュニケーション能力があること

③開発内容について、どこまで自身でできるかを作業フローごとに確認する

 これらの点のチェックを忘れずに行いましょう。

 また、ベトナムのエンジニアのスキルセットの特徴は、開発技術以外では以下のようになります。オフショア開発企業によって違いがでるため、スキルセットも調べておきましょう。

ベトナム人のスキルセット

要件定義✖︎(日本独自の要件が必要になる場合があるため日本人や外部パートナーやを入れて取り組むことが多い)
設計△(仕様書によって変わりますが、ベトナム人は設計よりも実際の開発を得意とすることが多い)
開発
テスト

ベトナムでの開発には、日本国内での要件定義や設計を行います。そして、オフショア開発に向けた仕様書を作成し、実際の開発を進めます。開発やテストはベトナム側になじむものといえます。また、一緒にヒアリングを通じて、現地のチームに適した仕様書を作成してくれるような企業選びが重要です。

現地企業との上手なお付き合いのために

仕様書作りの重要性

 オフショア開発では、日本で開発する場合に比べて急な開発要件の変更が困難です。また、急に規定の仕様を変更するとなると、一般的な期間を限定したオフショア開発の場合には、余計な費用や、現地のエンジニアの仕様への再度の理解に時間を要してしまいます。これは、オフショア開発ではまず開発の要件定義を行ったうえで、それに応じて人材を調達し費用を見積もるからです。要件を変えながらでも進めことができる、アジャイル型開発やラボ型開発とは、異なります。

 こうしたことから、オフショア開発を始める際には、重要なのはどれだけ仕様書を作り込めるか、ということです。急な変更でもある程度対応できるような仕様書を、ヒアリングを通じて現地向けに調整しながら作成してくれる企業を選びが大切になります。

たくさんコミュニケーションをとること

 オフショア開発では、一般的にブリッジSEと呼ばれるプロジェクトマネージャー的な人材がいて、日本と現地両チームの橋渡しを担ってくれます。日本チームとしては、このリッジSEに頼りすぎず、現地のチームとチャットツールや翻訳アプリなど駆使しながら積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。というのも、多くの企業はブリッジSEに丸投げして現地とのコミュニケーションを怠っています。しかし、現地チームと直接のコミュニケーションが少ないと、細かなミスが生じて不信感が生まれ、開発速度にも悪影響が出ます。

 また、日本側で細かいニュアンスを伝えられる人材がいない場合には、デザインなどの感覚やニュアンスが重要な案件にはオフショア開発は不向きといえます。

オフショア開発国の文化や習慣を理解する

 多くの日本企業は、外国人のエンジニアが日本のエンジニアと違う働き方に対する概念を持つことに驚きます。このように海外の人材と仕事をすることに文化的驚きも多いでしょう。だからこそ、仕様書のスケジュールは日本で開発をするときよりも特に気をつけることが必要です。一例ですが、外国人エンジニアには「休日出勤」が通用しないことがほとんどです。日本で納期ギリギリの場合に、休日出勤やサービス残業などでなんとか間に合わせるということもありますが、外国人エンジニアにそれは期待できません。頑張って納期ギリギリまで仕事をしてくれるとは期待せずに、スケジュールを組み立てて仕様書を作成しましょう。こうした文化の違いもあることから、オフショア開発企業選びには、日本企業との開発に慣れてる企業を選ぶこともポイントです。

おわりに

 オフショア開発国を比較しつつ、オフショア開発企業の選び方までご紹介いたしました。オフショア開発で最もコストパフォーマンスが優れている国はベトナムといえます。

 そして、開発企業選びでは開発実績がとても重要でした。自社の作りたい開発の実績のある企業なのか、また、エンジニアのスキルや日本語レベルはどうなのかなど、スキルチェックを行っていくこともポイントでした。さらに、外国の人材と仕事をすることから、日本の常識は通じず、そのことを念頭において仕様書を作ることが大切でした。

 これらの重要なポイントを押さえれば、オフショア開発もきっと成功するでしょう。

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