DX DXの成功事例は?業種別DX化の事例紹介 2022.11.13 2022.12.04 この記事ではDXを推進し、成功している企業を紹介しています。DX化を進めるにあたっては、目的、戦略を練ることが重要になってきます。他社の取り組み、施策を参考にすることで、DX化を進めていくためのヒントを得ることができるでしょう。各社の成功事例を通して、御社のDX推進に役立ててください。 DXの概要 DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語であり、デジタル技術を利用しながら、ライフスタイルやビジネススタイルをより良いものに変えていくことを言います。経済産業省の「『DX推進指標』とそのガイダンス」では、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。と定義付けています。 DX推進の現状 刻々と進化しているデジタル技術によって、全く新しいビジネスモデルが生まれ、社会全体が大きく変化しています。企業は、今まで以上に競争力を高めていく必要があります。そのために、今DXの必要性が叫ばれているのです。しかし、経済産業省によると、多くの企業では部分的な改善にとどまっているのが現状である、とされています。このような状況の中で経済産業省は、各企業がDX化に向けた現状や課題を洗い出し、検討できるよう「DX推進指標」を策定しています。DX推進指標は、「DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標」「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標」について、自己診断ができるようになっています。参照 https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003.html DX成功事例 ここからは、各企業の成功事例を業界別に紹介していきます。紹介にあたっては「DX銘柄2022」に挙がっている企業の事例を取りまとめています。https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/dx-report2022.pdf DX銘柄2022「グランプリ企業」と「注目企業」 DX銘柄とは、企業価値の向上につながるビジネスモデルを開発し、優れたデジタル活用の実績をあげている企業を、業種区分ごとに選定して紹介するものです。東京証券取引所に上場している企業の中から選ばれています。 1.日本瓦斯株式会社【DX銘柄2022グランプリ企業】 自社だけでなく競合他社、異業種の企業と連携して、新たな価値創造のためにDX化を進めています。自社の高効率なオペレーションを他社に広く提供して行こうとするプラットフォーム事業が評価されました。エネルギー託送/夢の絆・川崎デポステーション IoTを使いLPガス充填の効率化と、他事業者への輸送を最適化し、セキュリティを向上させるメカニズムを提供しています。スペース蛍 ガスメーターをオンライン化し、ガスの使用量をリアルタイムに計測できるIoT機器の開発しました。 雲の宇宙船 顧客管理、販売システム、保安システム、配送システム等を一元管理し、クラウド化するシステムを開発しています。参照 https://www.nichigas.co.jp/ja 2.株式会社ミライト・ホールディングス【DX銘柄2022注目企業】 2030年にむけて新たな事業ビジョンとして策定された「MIRAIT ONE Group Vision 2030」の中で、「データインサイトマネジメント」を発表しています。全変革の推進のために、データ活用を基盤としたDXに取り組んでいます。 🔳成長領域でのDX推進 「IoT・5G・ICT」「スマート土木」「再生エネルギー」「グローバルエンジニアリング」の成長分野にてDX推進しています 🔳店舗DXソリューション 電子棚札をECに連動させスマホ活用を組み合わせて、リアルとデジタルを融合させたビジネスモデルを開発しました。 🔳水道管ビジネス活性化のためAIを活用 ーAIを活用して、水道管劣化予測やクラウド施工管理を提供しています。これによりビジネス課題(スキルフリー、コスト削減)を解決することが可能になりました。参照 https://www.mirait-one.com/ 製造業のDX成功事例 次に製造業から7社紹介します。 1.味の素株式会社 食と健康の分野において社会変革をリードする存在になるべく、顧客起点、全体最適、全員参加の視点からDXを推進しています。🔳SCM(Supply Chain Management)最適化 OE(Operational Excellence)の導入で、各部署ごとではなく事業部門、機能部門横断の各種取組を行っています。また、デジタル技術を用いた物流業務プロセスの効率化を牽引しています。 🔳ANPS: Ajinomoto Group Nutrient Profiling System これまでの取り組みにデジタル技術を融合させた新しい栄養プロファイリングシステムの導入を行いました。 🔳レシピサイト「AJINOMOTO PARK」 AIを活用した自動献立提案システムを導入し、ユーザーニーズに応える献立を提供することができるようになりました。参照 https://www.ajinomoto.co.jp/ 2.株式会社ブリヂストン 自社の「リアル」と「デジタル」の力を融合させた、独自のソリューションビジネスのプラットフォーム「Bridgestone T&DPaaS」により、社会全体で新たな価値を共創することを目指しています。🔳匠の技を伝える技能伝承システム 技能訓練を効率的に行うことができるシステムを構築することにより、高度な熟練のスキルを効率的に新人技能員に伝えることが可能になりました。研修システムのDX化は、生産性の向上と高品質な商品の安定的供給に貢献しています。 🔳航空機整備作業を効率化するタイヤ摩耗予測技術エアラインの持つ航空機の見識や各種データと、ブリヂストンの持つタイヤについてのノウハウ・デジタル技術を使った摩耗予測技術を相乗させることで、高精度のタイヤ交換時期予測が可能になりました。これにより整備作業を効率化しコスト削減と、タイヤ生産と使用過程でのCO2排出量の削減も期待されています。参照 https://www.bridgestone.co.jp/ 3.株式会社LIXIL デジタル技術を活用し、既存ビジネスの変革、新規事業の創出、エンゲージメントと生産性の向上を掲げてDXに取り組んでいます。 🔳既存ビジネスの変革「LIXIL オンラインショールーム」 AIを活用し顧客満足度向上、販売プロセスの効率化が可能になりました。またオンライン接客は柔軟な働き方を可能にし、従業員満足度アップにもつながっています。 🔳新規事業の開発 IoT技術を活用した新たな商品やサービスを展開しています。中でも「スマート宅配ポスト」は、インターネットを使い、ユーザーが荷物の集配を遠隔管理できるシステムです。荷物の再配達率を下げることで、配達の効率化だけでなくCO2排出量の削減にも貢献しています。参照 https://www.lixil.co.jp/ 4.株式会社IHI ライフサイクルビジネス拡大」や「収益基盤のさらなる強化」に重点を置き、DXを変革の中心に位置付け、デジタルを活用したビジネスモデル変革を進めています。🔳LCB拡大を中心としたビジネスモデル改革 自社開発したIoTプラットフォーム「ILIPS」による製品・設備のデータを収集と分析。そして、顧客情報を共有する「カスタマーサクセスダッシュボード(CSD)」を構築しました。 これらにより、営業、サービス、製造が一丸となって連携できるビジネスモデル改革を進めています。🔳人材育成 IHIはDX推進のために、人材育成にも力を入れています。「データアナリスト研修」「AIコンテスト」によるデータ分析スキルの習得やデータ活用マインドの形成を図っているほか、DXリテラシーの向上と意識改革にも取り組んでいます。参照 https://www.ihi.co.jp/ 5.株式会社トプコン 光学やセンシング・制御技術などの独自技術を土台とし、グローバルな組織体制で「医・食・住」に関する社会的課題を解決することに取組んでいます。🔳眼健診(スクリーニング)の仕組みづくりデジタル技術を活用した眼健診(スクリーニング)の仕組みづくりを行っています。この仕組みにより、かかりつけ医・眼鏡店等における眼疾患の早期発見と眼科医での治療が可能になります。また、両者のデータ連携により、医療効率を高めた”シェアードケア・モデル”を実現を目指しています。🔳「農業の工場化」による生産性と品質の向上農機の自動運転やデータの一元管理により、農作物の生産性と品質の安定化を実現します。同社独自のセンシング技術などを応用しています。🔳「建設工事の工場化」によるワークフローの一元化 測量、設計、施工、検査のワークフローを一元化し、生産性の向上と人手不足解消を目指します。参照 https://www.topcon.co.jp/ 6.旭化成株式会社 「世界の人びとの “いのち”と”くらし”に貢献する」ことを経営理念に掲げています。ものづくり技術とデジタル技術の融合により、安心・安全・快適なくらしや環境負荷の少ない地球の実現することを目標に、社会に提供する価値の共創を加速しています。🔳デジタル共創ラボ「CoCo-CAFE」DX推進を進めていくために、社内外の知恵を「Connect」し、挑戦・共創の場として開設しされました。社内のデジタル人財と社外パートナーとの共創の場となり、新たなビジネスを創り出すことを目指しています。🔳LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)loTを使った防災情報システムです。地震災害時の迅速な復旧・復興支援の強化につながり、居住者レジリエンス向上に貢献します。🔳イオン交換膜法食塩電解プロセス向けデータドリブン型サービス 2020年2月に買収したカナダ Recherche2000社のモニタリングシステムと、旭化成の製品開発技術力、技術サポート力を融合し「スマート化」「安全・安定化」「サステナビリティ」をキーワードに、予兆保全・最適運転提案など、両社で新たなデータドリブン型のサービスを開発しました。それに伴い、イオン交換膜法を使用する全ての顧客のDX化をサポートしていきます。参照 https://www.asahi-kasei.com/jp/ 7.富士フイルムホールディングス株式会社 全社組織の横断的な業務効率化、課題解決に向けてDXに取り組んでいいる会社です。「DXビジョン」の実現を加速させ、全てのステークホルダーともに社会課題の解決を目指しています。🔳「DX戦略会議」で全社が本格稼働 CEO・社長をプログラムディレクターとした「DX戦略会議」を設置し、グループ横断的なDX活動を推進しています。🔳医療AIによる医療の世界的課題の解決自社独自のAI技術を用いたシステムを世界的に導入していく計画です。疾患の早期発見、医療従事者の業務効率化に繋がり、持続的な健康社会の実現に貢献します。🔳DX人材育成戦略DXの社内研修プログラムを充実させ、ビジネスプランナーやデータサイエンティストといったDX人材の育成に力を入れています。参照 https://holdings.fujifilm.com/ja 運輸業のDX事例 運輸業からは4社紹介します。 1.株式会社日立物流 「DX・LT(LogisticsTechnology・現場力でグローバルなサプライチェーン戦略パートナーへ」重点施策として掲げDXを経営戦略の中心に位置付けています。🔳サプライチェーンのデザインと高度化を支援する「SCDOS」サプライチェーンに関するデータを分析、シミュレーションし、サプライチェーン全体の最適化を行ってます。このSCDOSで提供しているサービス「脱炭素支援サービス」では、CO2排出量の自動算出、モニタリングが可能になり、CO2削減につなげることができます。🔳輸送の事故ゼロ化・業務効率化を支援するサービスプラットフォームSSCV(Smart & Safety Connected Vehicle) 先端を行くデジタル技術の下で輸送業界の問題解決を目指していくプラットフォームです。SSCVの1つSSCV-safetyでは、安全で効率的な運航管理を実現することが可能です。参照 https://www.hitachi-transportsystem.com/jp/ 2.SGホールディングス株式会社 SGホールディングスは、「DXを通じて、社会・顧客課題を解決し、持続可能な社会へ貢献する」をモットーに、サービスの強化、業務の効率化、デジタル基盤の進化、の3つの施策により、DXを推進しています。🔳伝票情報のデジタル化 伝票情報をデジタル化する「AI-OCR」を開発し、宅配便事業の効率化や自動化に取り組んでいます。 🔳「物流プラットフォームサービス」の構築と拡充TMSプラットフォーム、GOALプラットフォーム、グローバルプラットフォームの構築で、ユーザーや同業他社との連携を図っています。🔳デジタル基盤の進化レガシーシステム撤廃、開発、保守運用の内製化を実現し、ITコスト削減に成功しています。参照 https://www.sg-hldgs.co.jp/ 3.株式会社商船三井 「安全運航」「環境負荷低減」を掲げて、全社的なDX戦略を遂行しています。🔳「FOCUSプロジェクト」運航船から得たビッグデータを活用し、安全運航強化、運航効率化と最適化を実現させています。🔳安全運航高度化への取り組み 航海情報表示システム、航海リスク監視システム、自立運航技術、を活用し、乗組員が行っている一連の作業にデジタルを活用し、ヒューマンエラー軽減に役立てています。 参照 https://www.mol.co.jp/ 4.ANAホールディングス株式会社 デジタル技術の活用で、顧客と企業との接点(タッチポイント)を改革しています。これにより、多方面にわたる体験や価値を創造し、グループ経営理念である「心の翼」で世界をつなぎ、「夢あふれる未来」創りを進めることを目指しています。🔳MaaSプラットフォーム「空港アクセスナビ」は、リアルタイム発着時刻に合わせた経路検索を可能にしました。「Universal MaaS」は他の交通事業者と連携し、高齢者、障がいを持つ方の介助を一括手配できるサービスです。このようなプラットフォームの構築で、ユニバーサルな移動のサポート実現に向けて取り組んでいます。🔳ANA Pocket モバイルサービス「ANA Pocket」を開始。日常生活でのタッチポイントを創出し、ユーザーとの新しい関係性の拡大を目指しています。参照 https://www.ana.co.jp/group/ 情報・通信業のDX事例 情報・通信業のDX事例を2社紹介します。 1.KDDI株式会社 IoTを通して、業界毎の個別ニーズに応じたビジネスプラットフォームを提供し、ユーザー企業のビジネス創造をサポートすることで、社会のDXを加速することを目指しています。🔳JR東日本との「空間自在プロジェクト」 JR東日本と提携し、場所や時間に捉われない豊かなくらしを目指す「分散型まちづくり」を実施。パートナー企業とのビジネス開発を進めています。🔳人財育成の取り組み2020年社内人財育成機関「KDDI DXUniversity」を創設し、DX推進の専門人財を養成しています。また、社員が特性に応じた業務で力を発揮できるよう育成を進めています。参照 https://www.kddi.com/ 2.ソフトバンク株式会社 5GやAIなどのデジタル技術をを活用し、様々なビジネスと社会課題の解決に向け、多方面との連携・共創を進めています。また、グループ会社のもつビジネスリソースを最大限に活用し、「誰ひとり取り残さないデジタル社会の実現」を目指しています。🔳キャッシュレス決済サービス「PayPay」2018年10月にサービス提供開始。日本におけるキャッシュレス決済を先導しています。 🔳ヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」オンライン健康医療相談サービス、処方薬配送サービス、オンライン診療サービス等が可能なアプリです。医療における社会的課題の解決にも寄与しています。🔳次世代モビリティプラットフォーム「MONET」国内自動車メーカーと協同して、MaaS(次世代交通サービス)による地域課題解決と、新たなモビリティサービスを実現するためのプラットフォームを開発しています。参照 https://www.softbank.jp/ 金融・保険業のDX事例 最後に金融・保険業のDX事例を3社紹介します。 1.東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 独創性と優位性を持つプラットフォーム機能「東海東京デジタルワールド」によるDX推進を進めています。🔳FinTech機能の融合による新しいサービスFinTechサービス(スマホ証券「CHEER証券」、ロボアド、おつり投資などを提供し、そこで獲得したAIデータをマーケティングに活用しています。 🔳地方創生ブロックチェーン技術を活用した「地域通貨(デジタル通貨)」の発行、やデジタル通貨による給与払い、そして「セキュリティ・トークン」や「クラウドファンディング」の提供などを行っています。これらの機能を利用して、地域金融機関のDX化を展開し、地域経済のDX化への取り組み(地方創生プログラム)に貢献してします。🔳パートナーとの連携STOアジアネットワーク、ブロックチェーン技術の取込み、スマホ証券機能を駆使した金融プラットフォームを通し、パートナー企業との連携を強めています。参照 https://www.tokaitokyo-fh.jp/ 2.SBIインシュアランスグループ株式会社 顧客中心主義」の徹底という基本的な経営観を踏襲しながら、デジタル技術を駆使したDXを進めてきました。顧客・販売代理店・従業員それぞれに新しい体験価値を提供する商品やサービスを生み出し、保険業界のビジネスモデル変革に取り組んでいます。🔳ビジネスモデル変革 AIによる保険金不正請求の探知、コールセンターの受電予測など、各種AIプロジェクトの事業化を行ってきました。また、AIを活用したデータ分析ができる人財育成にも取り組んでいます。 🔳パートナー企業との結びつきを強めるビジネスモデル構築団体信用生命保険や家財保険などにおいて、パートナー企業側システム間とのシステム連携に取り組んでいます。パートナー企業の業務効率化に貢献し、結びつき強化につながりました。参照 https://www.sbiig.co.jp/ 3.東京センチュリー株式会社 「金融×サービス×事業」を融合した独自のビジネスモデルを展開し、業種を超えた幅広い事業パートナーとの事業連携を可能にしてきました。DXを通して事業パートナーに支持される金融・サービス企業を目指しています。🔳サブスクリプション統合プラットフォーム提供 オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社との協業プロジェクト(太陽光発電向けパワーコンディショナ定額貸出サービス)にて、金融サービス、サブスクリプション統合プラットフォームを提供し、パートナー事業と自社事業(リース・ファイナンス)の価値向上をもたらしました。🔳DXを推進する基幹システムの改善現在構築中の「新・基幹システム」をグループ会社、同業他社との共同利用を視野に入れ、「攻めのDX」を推進しています。参照 https://www.tokyocentury.co.jp/jp/ まとめ ここまで、18社のDX化成功事例を紹介してきました。いずれの会社も、新しい技術やビジネスモデルを開発し、時には旧システムを一新しながらDX化を進めています。また、自社だけでなく同業他社、ユーザーと一丸となって新たな市場価値を創出してきました。現在、どのような会社にとってもDXは必要とされています。しかしDX化には様々な作業が発生し、人材とくにデジタル人材の確保が必要になってきます。自社だけでのDX化が困難な場合には、アウトソーシングという手もあります。アウトソーシングもうまく活用しながら、DX推進を目指してはいかがでしょうか。 Tweet Share Hatena Pin it DX DXとは何か DXについて簡単解説 農業DXについて事例とともに解説