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介護DXとは?その課題と事例について解説

この記事では介護業界のDXについて、その背景とDX化のメリット、成功事例などについて解説しています。皆様の介護施設や事業所のDX推進の参考になさってみてはいかがでしょうか。

介護業界でも求められているDX

まず、「DX」の定義について説明していきます。
経済産業省はDXについて以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

参照 デジタルガバナンスコード2.0 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf

また、経済産業省は「2025年の崖」という言葉を用いてDX推進を行っていくことが急務であると述べています。「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」 では、DX化が進まないと2025年以降、日本全体で最大12兆円/年もの損失が発生する恐れがあるとしています。このように全産業でDX推進が求められているのです。

もちろん介護業界において例外ではありません。DX化によって効率化できることは数多くあります。

例えば日々の業務にデジタル技術を活用することで業務効率化を図ることが可能になります。また、日々の介護にデジタル技術を取り入れることで、今まで以上に安全でスムーズな介護を行うことが期待できます。

これまで人の力だけに頼ってきた介護にデジタル技術を導入することで、介護者の負担を減らすことができ、利用者へ「より安全で安心感のある介護」を提供できるようになります。また、介護者の負担減により生まれる余裕で利用者とのより深いコミュニケーションをとることができるようになるなど、新たな価値創造が可能になってくるのです。

DXを進めていくことで、人手不足を始めとした各種課題の解決と、新たなサービスの提供が可能になるでしょう。

介護DXが必要とされる背景

少子高齢化による人材不足

少子高齢化が介護業界の人材不足を加速させています。2021年版高齢社会白書によると、「日本の総人口は2020年の1億2千万人から2065年には8千8百万人まで減少し、現役世代(15~64歳)1.3人で高齢者1人を支えることになる」と予測しています。

一方、高齢化により介護人員の不足が懸念されています。厚生労働省は、2040年に介護職員の不足数が69万人に達すると発表しました。

介護職員の不足を補うためには、介護業のDX化を行い可能な限り業務の自動化を進めて、効率よく業務を回していく必要があります。また、業務量軽減によって職員の離職率低下や人材確保が期待できるでしょう。

国による科学的介護の推進

厚生労働省は、2021年に「科学的介護情報システム(LIFE)」の運用を始めています。
LIFEは、各介護施設、事業所が入力した利用者の状態やケア情報などを入力すると、そのデータが分析されて、当該施設等にフィードバックされる情報システムのことを言います。

LIFEを活用することで、根拠(エビデンス)に基づくPDCAサイクルの促進や質の高いサービス提供を目的としています。情報のデジタル化と分析、その結果をフィードバックしてより良い介護に繋げることを目指していることから、国も介護DXを進めているといえるでしょう。

参照 科学的介護情報システム(LIFE)による科学的介護の推進について https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000949376.pdf

介護DXで効率化できる業務

それでは、介護DXによって効率化できる業務にはどのようなものがあるでしょうか。
以下に効率化が望める業務として3点説明します。

巡回業務

効率化が望める業務の1つ目が巡回業務です。利用者の状態を把握し安全を守るために欠かせない業務ですが、人手と時間を要する業務でもあります。利用者が多い施設では尚更です。また、施設から気づかないうちに出て行ってしまうような入居者がいるような施設では、巡回の回数を多くして危険を無くしていく必要があります。

巡回業務の手間と時間短縮に効果的なDX例としてセンサーやカメラなどが挙げられるでしょう。センサーやカメラの設置によって、利用者の状況が常にわかるようになっていれば、巡回業務の手間と時間を大幅に減らすことができるようになります。

情報共有

2つ目として情報共有の効率化が挙げられます。利用者の様子や健康状態については、その利用者の介護に携わる全てのスタッフが把握している必要があります。そのため利用者情報の申し送り時間を設けている施設が殆どです。

利用者情報をデジタル化して一元管理を行うことで、スタッフに必要な情報を漏れなく伝えることが可能になります。

事務作業

3つ目は事務作業の効率化です。介護記録や介護計画の作成、勤怠管理などを自動化することで、抜けやミスが減り業務時間を短縮することができるでしょう。

実際に勤怠管理ツールなどの便利なツールが開発されており、利用することで業務効率化に成功している事業所も出てきています。

介護DXを普及させる際の課題

介護DXの推進は大きなメリットをもたらしますが、DX化にあたっての課題も存在しています。その課題を3点見ていきます。

設備コスト

1つ目の課題は設備コストです。介護DXを進めるにあたり、デジタル機器や通信環境の整備が必要です。しかし、これらの設備を導入、維持管理のためには相応のコストがかかります。全てを一気に行うことは難しいこともあるでしょう。

また介護DXは、売上金額のような目に見える数字としてすぐに表れるわけではありません。
経営者、管理者としては、二の次になることも考えられます。

段階を踏み、できる部分から導入していくことをお勧めします。

職員のITリテラシー

2つ目の課題は、DX化により職員のITリテラシー(IT関連の知識と使いこなすスキル)が必要とされることです。IT機器を導入しても、職員が使いこなすことができなければDX化の意味を為しません。一部の使える職員にIT関連の業務が集中してしまえば、業務効率化から遠ざかってしまいます。

介護現場は幅広い世代が勤務しており、IT関連のことに苦手意識を持っている職員も少なくありません。独立行政法人福祉医療機構が実施した、2021年度介護報酬改定に関するアンケート調査によると、事業所全体の10~30%はLIFEを利用申請する予定はないと回答しています。理由として、データ登録やシステム全体への理解の負担が挙げられています。

導入にあたっては、職員に対する充分な研修が必要です。また、IT関連の知識を含めたDX全般に関する知識を持ったDX推進人材を育成していくことも大切です。

セキュリティ対策

3つ目は、セキュリティ対策です。前述のLIFEへの情報入力など介護DXでは利用者情報をデータ化し保存することになります。万一情報漏洩が起こると、利用者だけでなく介護施設も多大な損害を被ることになります。

セキュリティ対策を充分に取ることが必要であるとともに、職員をはじめ全ての関係者が個人情報遵守の意識を持つことが重要です。

介護業界でDXを導入した事例

ここではDX化の成功事例を紹介します。

地方自治体とベンチャー企業等の連携による課題分析

地方自治体とベンチャー企業、社会福祉法人が連携し、介護事業所の課題分析を行いました。この分析結果をもとに事業所の課題意識向上を図りました。そして、介護事業所とベンチャー企業とのマッチング及びソリューションの導入支援を行っています。

このような取り組みで生産性向上や地域住民が適切な介護サービスを受けるための資源確保を目指しています。

ITリテラシーを現場で活用できる人材育成

ある社会福祉法人は、介護現場でITリテラシーを活用できる人材「スマート介護士」を育成しています。

介護DXをスムーズに推進していくために、外部人材を登用するのではなく介護現場を良く知る人材を育てて行くことを目的としています。また、内部にこのような人材が生まれることで周りの職員のITリテラシーへの意識を高めていくことも期待できます。

訪問状況を見える化することでヒューマンエラー削減

訪問状況を見える化することで、訪問漏れを無くした訪問介護事業所があります。
この事業所では毎月多く訪問介護を行っていますが、ヒューマンエラーで生じる訪問漏れを問題とし、訪問状況を可視化できるシステムを導入しました。

システム導入によって、各職員の勤務予定や訪問状況がリアルタイムでわかるようになり、訪問漏れを無くすことに成功しました。加えて職員のプロ意識や責任感が向上につながり、高品質なサービス提供が可能になりました。結果として新規利用者の増加にも貢献できたのです。

見守りセンサーシステムでサービス向上と業務時間短縮に

見守りセンサーシステムを導入して業務改善につなげた例を紹介します。ある介護施設では、夜間の巡視に見守りセンサー付きカメラを導入した結果、巡視時に利用者を起こしてしまうことがなくなりました。同時に職員の巡視業務にかかる時間を短縮することも可能になっています。

導入に際しては、経営サイドを含めた職員全体での業務改善に対する意思統一を行いました。また、IT担当者を置きシステム利用の指導が行き渡るようにしています。

ビデオシステムを使った遠隔介護の例

こちらは、海外の例となります。

オーストラリアは国土面積が広大なことにより、遠隔介護の需要が以前からありましたが、コロナ禍で感染拡大予防のため、2020年10月時点で6割以上の高齢者が遠隔介護や遠隔医療を導入したと報告されています。

このうち9割がビデオ診療システムを導入し、要介護者の定期的な状況確認およびケアプラン策定、レビュー等が行われているとのことです。高齢者にとっても使い馴染みのあるビデオシステム活用が成功の要因となりました。

オーストラリアでは早い時期から、一定の時間をかけて少しずつデジタル技術を施設へ導入してきました。その後通信サービスの基盤となるインフラ整備を行うことで介護DXを推進していったのです。

まとめ

現在、日本の産業全体でDX化が求められています。介護業界も少子高齢化などを背景に、DX推進が必須となってきています。

DX化のメリットは業務効率化など大きなものですが、コストやITリテラシー不足などの課題もあり、一度に全てを行うことは難しいかもしれません。

紹介した事例なども参考にしながら、少しずつDX化を進めていくことが良いでしょう。

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