新規事業 DAOとは何か?仮想通貨取引で知っておくべきこと 2023.01.27 仮想通貨について調べていくと「DAO」というキーワードをよく目にする方も多いかもしれません。DAOは、メタバースやNFTなどの登場によりさらに注目されるキーワードとなっています。また、DAOは、従来の組織・仕組みとは根本的に異なっており、Web3.0が本格化する現代においてさらに注目を浴びています。 本記事では、DAOについて、その概要や注目される理由、問題点やリスク、具体例についてご紹介していく内容となっています。仮想通貨を始めたい方にとって、有益な情報をまとめています。 DAOとは何か?その特徴について 1 中央管理者のいない組織 DAOの正式名称は、「Decentralized Autonomous Organization」で、これを訳すると「分散型自律組織」となります。世界中の人々がブロックチェーン上で協力して管理・運営する組織のことです。 この名称が表している通り、DAOは、中央管理者が不在の組織です。そして、組織の意思決定は、参加者同士で行います。従来の株式会社などに代表される組織の意思決定は、上層部で行われ、決定されたことが上から下に指示される「トップダウン方式」が主流でしたが、DAOはこれとは全く違う形態です。 DAOの参加者同士の意思決定には「ガバナンストークン」(仮想通貨の一種)を保有する必要があり、これを持てばトークン保有者はDAOの組織運営に対する提案をしたり、意思決定における投票権を持てるのです。株式会社でいうところの「株式」と似た概念です。 2 誰でも参加できて、意思決定参加も公平である DAOでは、ネットワークにつながっている環境下の人であれば、誰にでも参加する権利が与えられています。また、DAOは、民主主義による運営・管理を目指すことを基本理念としています。そして、この理念のもと、DAOではガバナンストークンを保有すれば、誰でも公平に組織の意思決定に参加することができます。このように、DAOでは、組織への参加と意思決定への参加は多くの人に開かれているといえます。 3 運営ルールの閲覧が自由で、透明性が高い 一般の組織、企業の場合、組織内のルールが全て明文化・公開されているとは限らず、組織運営に不透明な部分があることも多かったです。また外部の者にとってルールを把握することは難しいことでした。 しかし、DAOはブロックチェーン上で運営されており、参加者の話し合いで決定されたルールはスマートコントラクト(一定の動作発生時に、決まったことが発生するようにブロックチェーン上でプログラムすること)で実行されます。そして、ブロックチェーン自体はオープンソースなので、誰でもソースコードを見てスマートコントラクトの内容を確認できます。このように、DAOでは、組織の運営ルールをメンバーなどが自由に閲覧できるのです。ルールが十分に共有され、組織としての透明度も保障されているのです。 DAOが今注目されている理由 DAOという言葉自体は2014年頃には既に存在していました。しかし、このDAOが近年になって急速に注目されるようになってきました。その背景は何でしょうか。 1 DeFi(分散型金融)の広がり DeFi(ブロックチェーンを使用した金融サービス)は2021年以降流行し始め、これまでに様々なプロジェクトが登場してきました。そして、多くのDeFiはDAOで成立しており、DeFi市場が拡大するにつれて、DAOも普及してきたといえます。 もっとも、DeFi自体には、開発者が投資家から集めた資金を持ち逃げするような事件が起きたり、プログラムの脆弱性をつかれてハッキングの被害を受けたといった問題点もあります。このような中、長く運営されているDAOは信頼性が高いといえます。 2 NFTやメタバースの躍進 NFT(ブロックチェーンを基盤にして作成された代替不可能なデジタルデータ)やメタバース(仮想現実)も、2021年以降急速に注目を集めてきました。そして、DAOはこの2つとも関連していることから、DAO自体にも注目がいくようになったのです。NFTやメタバースの躍進に伴ってこれらと関連したDAOも、同じくらい普及していくでしょう。 3 DAOの参入障壁が低いこと 従来の組織の代表例である株式会社であれば、設立には多くの手続きがあり手間がかかりました。しかし、DAOの場合はインターネットに接続できる環境さえあれば、誰でもブロックチェーン上にDAOを作れるのです。参入障壁の低さがDAOの普及してきた理由ともいえます。このように、DAOは誰でも作ることが可能であるため、今後も拡大していくことが期待されます。 もっとも、DAOの立ち上げが簡単であっても、多くの人々に参加してもらい資金を集められるとは限りません。トークンまで買って参加してくれるメンバーを募るには、DAOのプロジェクト自体に魅力を持たせる必要がありますし、広報も必要です。 DAOの具体例のご紹介 ここまでDAOの特徴や、注目されてきた背景をご紹介しました。ここからは、このDAOを使ってどんなことが行われているのか、その具体的な例をご紹介していきます。 1 ビットコインやイーサリアム ブロックチェーン上で一定のルールに従って運営されているビットコインやイーサリアムは、DAOの一種といえます。 例えば、ビットコインの取引はネットワーク参加者によって処理・記録され、ブロックチェーンへの取引記録の完了後に新たなビットコインが発行される仕組みです。こうした流れは、ブロックチェーン上でプログラミングされており、オープンソースであるため誰でも閲覧できるうえに、参加者は誰でもビットコインの承認作業に参加でき、さらに新しく発行されたビットコインを受け取ることができます。このように参加メンバーが誰でも参加・管理できることからもDAOであることがわかります。 2 PleasrDAO PleasrDAOは、NFT(非代替性トークン)の収集をするDAOで、投資家同士で資金を拠出し合ってNFTを購入するものです。 PleasrDAOが人気を上げた理由ですが、これまでのDeFiでも融資を受けるのは可能でした。しかし、このPleasrDAOは、初めてNFTを担保にして資金の借り入れをしたDAOだったのです。PleasrDAOはNFTを担保にして、DeFiプロトコルの「Cream Finance」から仮想通貨を借りたことによって一躍世間の注目を集めることになりました。 3 MakerDAO MakerDAO(メーカーダオ)は、DeFi(分散型金融)を代表するプロジェクトで、名称の通りDAOによって運営されています。 このMakerDAOはイーサリアムのブロックチェーンを利用し、ステーブルコインであるDAIを発行できます。ステーブルコインとは、法定通貨と連動した仮想通貨のことです。DAIはドルの価値と連動しており、MakerDAOでは、誰でもドルのステーブルコインを発行することが可能です。 4 Augur Augur(オーガ)とは仮想通貨のひとつで、イーサリアムのブロックチェーン上で構築される、スマートコントラクト(契約の自動化)を用いた分散型の予測市場のためのプラットフォームです。 予測市場とは、未来に起きる出来事を予測して掛ける市場のことです。参加者は色々な予測に投票で参加し、予測が当たるとトークンが受け取れます。 5 和組DAO 現在日本で注目度が上昇しているDAOです。 和組DAOは、Web3について話し合うことを目的としたオープンコミュニティであり、DAOに限らずNFT、ブロックチェーン、DeFi、メタバースなどに関心のある起業家などが参加しています。和組DAOは、DAOの意思決定に関わる人や実際にNFTを購入する人を増やしていき、Web3を理解する日本人をもっと増やしていくことを一つの目的にしています。 知っておくべきDAOの注意点やリスク DAOについて具体例も踏まえてご紹介してきました。DAOへの興味や関心が増した方も多いかもしれません。しかし、DAOには、始める前に知っておきたい注意点やリスクがあります。 1 法整備がなされていない DAOはこれまでの伝統的な組織体系とは異なり、より民主的な運営プロセスで統治されています。しかし、ブロックチェーンを基本としたこの新しいシステムについては、日本を含む多くの国や地域で法整備が追いついていません。今後さらにDAOが普及するためには、セキュリティの規律や消費者保護が達成されるように、ある程度の法的な整備は必要とされるでしょう。法整備が不十分であることから、後に述べるハッキングのリスクが顕在化してしまい、実際にユーザーが損害を受けても、補償されるとは限りません。あくまで自己責任でDAOを使うことになるので、リスクがあることも知ったうえで利用しましょう。 2 ハッキング DAOにはハッキングリスクもあります。2016年6月に、イーサリアム上のDAOである「The DAO」がハッキングを受けました。このとき約360万ETH(日本円で約52億円)もの資産が盗まれたのです(通称「The DAO事件」)。現金ではあまり見られない巨額の盗難事件です。この事件の経緯ですが、もともとThe DAOはブロックチェーン上の投資ファンドで、参加者の投票で投資先のファンドを選び、ファンドで得た利益を参加者に分配する内容となっていました。ところが、ハッカーはこのThe DAOのプログラムの欠陥をついたのです。 このハッキングリスクは、法整備が未発達であることと相まって、慎重な判断を求められるリスクではあります。 3 意思決定やその実行に時間がかかる DAOの特徴は、中央集権者がおらず参加者同士で意思決定することにありました。これは裏を返すと、組織としての意思決定が遅くなってしまう欠点にもなるということです。DAOの意思決定にはガバナンストークンによって投票するので、限られた人が意思決定を下す場合に比べてどうしても時間がかかります。そのため、DAOが管理しているサービスが一旦ハッキングされるといった致命的な事件が発生した際、迅速な対応が必要ですが、この場合の意思決定も遅れてしまう可能性があるのです。 参加者の意思決定が必要ということで、参加者が増えれば増えるほど、意思決定に時間がかかるというジレンマに陥るのです。 DAOの関連銘柄とその買い方のご紹介 2022年10月時点で、DAO関連銘柄を上場している国内取引所はないため、DAOの関連銘柄を取り扱うには、海外取引所を利用する必要があります。そして、海外取引所では主にビットコインで取引しますので、DAO銘柄の投資する際にはまずは国内取引所(Coincheck(コインチェック)やbitFlyer(ビットフライヤー)など)でビットコインを購入しましょう。関連銘柄について以下のとおりご紹介します。 1 Compound(COMP) Compoundは、イーサリアム上に構築されたDAOで、仮想通貨の貸し借りができるレンディングプラットフォームとして利用されています。 利率は高めで、例えばSUSHI(SushiToken)なら5.75%、LINK(ChainLink Token)なら5.09%で運用できます(2022年10月25日時点での利率)。また、レンディングを利用するとCompoundのトークンであるCOMPを受け取れます。COMPを取り扱っている海外取引所はBinanceやCoinbase Exchangeなどになります。 2 Uniswap (UNI) Uniswapは、分散型取引所を提供しているDAOで、使用されているトークンはUNIです。分散型取引所とは、ブロックチェーン上に構築された仮想通貨取引所であり、管理者はおらず直接ユーザー同士取引ができます。分散型取引所の利点は、取引手数料が比較的安価で、取引所自体がハッキング被害に遭うことが少ないことです。一方、取引に必要な秘密鍵を無くしたり、詐欺コインが上場されている危険もあります。 さらにUniswapでは「流動性マイニング」というサービスも利用できます。これは、特定の仮想通貨を預けてトークンを受け取れるもので、Uniswapでは流動性マイニングにより「UNI」を受け取れます。 UNIは、Gate.ioやBinanceで取引されています。 3 BitDAO(BIT) BitDAOは、海外取引所BybitがサポートしているDAOで、その目的は将来性の高いDeFiを発見し、出資・流動性の供給といったサポートにあります。 DeFiのサービスには、Maker DAOのようなステーブルコインの発行、Augurのような予測市場、そしてCompoundのようなレンディングなどがありますが、BitDAOは今後成長が期待できるDeFiを発見し、サポートしています。 BitDAOのトークンはBITですが、これはBybitや・Gate.ioで取り扱っています。 まとめ ここまでDAOの概要や、具体例、注意点などをご紹介してきました。DAOにはリスクも存在していました。法整備も不十分で、どのような取引にもつきものではありますが、巨額の損失を出す可能性もあります。とはいえ、DAOは民主的に統治された未来志向のもので、NFTなど他の先端技術の影響も受け、今後より発展していくことが期待されます。大切なことはリスクも考慮に入れて利用することです。また、関連銘柄の取引は主に海外の取引所で行われるためビットコインが必要でした。ビットコインの購入も検討してみても良いでしょう。 DAO開発を依頼するなら 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