新規事業 新規事業を立ち上げるプロセスとフレームワーク 2022.11.05 2022.12.04 新規事業を立ち上げようと思っても、どうすれば良いのかわからない方も多いと思います。新規事業立ち上げの時に必要になってくるのが、フレームワークです。 フレームワークとは フレームワークとは、事業における様々なパターンを可視化したものを言います。共通して用いることが出来る考え方や意思の決定、分析や問題の解決、戦略立案などの枠組みのことで、情報や考え、状況などををわかりやすく図式化したものが多く、一定の枠組みに沿って発送や分析を行います。フレームワークの種類や使い方については、後ほど詳しく説明します。 新規事業の必要性とは 新規事業とは、新しく始める事業のことを言います。事業拡大のため、新しく始める事業のことも新規事業と言います。新規事業の必要性は、新たな収益を上げるためであることが一番の目的ですが、既にある事業の幅を広げることによって、事業の規模の拡大や認知度を上げる狙いもあります。 新規事業を立ち上げる際の課題とは 新規事業を立ち上げるに当たり、課題となっているのが次の4つです。①人材②資金③知識・ノウハウ④販路拡大・開拓この4つの扱い方を理解することで、新規事業立ち上げの際のリスクを、最小限に抑えることができます。 ①人材 新規事業のアイデアを生み出すのが人であると同時に、そのアイデアを形にするのも人です。その大事な「人材」が不足しているのが、新規事業の課題の一つと言われています。そもそも「人材」そのものが不足している問題もありますが、どんな人に事業を任せたら良いのか、どんな人をスカウトしたら良いのか、どんな能力がある人を確保すれば良いのか、わからない問題もあります。 ②資金 新規事業で安定した利益が出せるようになるまでには、一定の期間がかかります。そのため、新規事業を始める時には、ある程度まとまった資金が必要になります。そのためにも、必要な予算はどのくらいなのか、予算が少ない場合はどうすれば良いのかなど、対策を考える必要があります。 ③知識・ノウハウ 既にある事業の知識やノウハウが使える場合は良いのですが、全く別の新たな事業を始める場合、どのような企画で進めて行けば良いのか、どのような過程で進めて行けば良いのか、どのような構造で行けば良いのか、考える必要があります。また、持っている技術や資産などをどう活かせば良いのか、今まで築き上げてきた知識やノウハウの効果的な活用法なども考える必要があります。これらのリスクを回避するには、フレームワークを活用しましょう。 ④販路拡大・開拓 既存の事業がある場合は、その販路を活かして、さらに拡大・開拓を行うのが良いでしょう。しかし、全くの新規の場合は、どのようにして販路を拡大・開拓するのかを考える必要があります。 新規事業を立ち上げるには ①市場の調査及び分析 新規事業を進めるには、まず市場の調査をすることが必要です。どのような市場を狙うのかを決めるためにも、以下を調査して情報を入手しましょう。市場の大きさはどのくらいなのかこれから成長が見込める市場なのか勝ち目ある市場、参入している企業がまだ少ない市場なのかなどを調査し、参入する市場を選ぶために必要な情報を集めます。 ②アイデアの創出 既存事業がある場合は、その事業に関連する市場を考えてみましょう。既に経験がある市場はスタートしやすいメリットがあります。もう一度、既存事業のためにかけてきた「時間」や「資金」などを振り返ってみましょう。規事業を始める場合、利益率の高さを確認しておくことが大切です。競合企業などを参考にすると良いでしょう。上場企業の利益率が調べるには、「Yahoo!ファイナンス」を利用すると便利です。業種や会社名などで検索することが可能です。既存事業とは別の、全く新しい事業に飛び込むのは、かなりリスクがあることを理解しておきましょう。よほど自信がある事業であれば別ですが、クライアントに認知してもらうことに時間がかかったりするため、しっかりと市場調査をした上で、確実性の高い事業を選ぶ必要があります。 ③事業の構築 ある程度見解が固まったら、今度は事業内容の構築が必要になります。マーケティング 売れる仕組みの構築業務改善 業務の向上、標準化する仕組みの構築リスクマネジメント 事業のリスクに対処する仕組みの構築 ④改良・修正 仕組みの構築ができたら、いよいよサービス化となります。サービス化をしてから、クライアントの反応を確かめながら、要望に応えて行くことが大切です。そのサービスには、サイクルがあるということを意識するようにしましょう。導入期(新製品や新サービスの普及)成長期(売上・利益が上がり、競合が出てくる)成熟期(売上・利益が鈍化し、競争が激しくなる)衰退期(代替品が出現することによって、売上・利益が下がる)このサイクル意識しながら、サービスの質を上げていきます。 ⑤分析 クライアントのリクエストや市場の特性など、自社事業の強みなど、様々な分析をしながら競合他社との差別化をはかり、利用度合いの高いサービスへと変えていきましょう。分析とサイクルを繰り返すことで、事業の品質を高めて行くことが大切です。品質を高めて行きながら、このまま投資を続けるのか、撤退をするのかを早く判断をすることが重要です。この判断を早めることができれば、損失を予防することができるため、次の事業に投資する資金を確保することができます。①市場の調査及び分析⇒②アイデアの創出⇒③事業の構築⇒④改良・修正⇒②~④を繰り返し、質を高めて行くことが大切です。 新規事業の立ち上げに役立つフレームワーク 事業計画を立てることは、事業の成功に欠かせない要素の1つですが、事業開発にはスピードが求められるため、多くの時間をかけることができません。事業計画に時間をかけすぎると、競合先に先を越されてしまったり、環境の変化などでチャンスを失ってしまうなどのリスクがあります。そんな時に有効な手段として用いられるのが「フレームワーク」です。フレームワークのメリットは、次の3つです。 ①思考の整理ができる 新規事業を始める時は、色々考えることがたくさんあります。「どの程度の予算が必要になるのか」「クライアントの需要や要望などをどうするのか」「他の企業とパートナー契約を結ぶべきなのかどうか」など、様々な要素をしっかりと理解したうえで、計画を立てましょう。フレームワークを使って各要素をまとめると可視化されるため、思考の整理がしやすくなります。 ②情報の共有がしやすくなる フレームワークを使うと、作戦計画などの情報の共有がしやすくなります。作戦計画などをビジュアライズすることができるので、メンバーに共有することが簡単になります。一緒に動くメンバー全員が作戦計画を理解することによって、事業のスピードや確実性を高めることができます。 ③時間を節約することができる ビジネスにおいて時間短縮も大きなメリットです。作戦計画を検討するときも、既にできている「フレームワーク」に構成を書き加えて行くだけで済むので、最初から考える必要がありません。またメンバー全員が事業の作戦計画やゴールを理解することによって、事業全体のスピードアップを図ることができます。 ビジネスに役立つフレームワーク SWOT分析 SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字から命名されたフレームワーク。後述する3C分析と同様に、①市場の調査及び分析 ②アイデアの創出 ③事業の構築 ④改良・修正 ⑤分析 ②…の構成全体で使うことができますが、②アイデアの創出の時点ではっきりさせておくことで、事前に市場のチャンスや事業課題を発見することができます。 VRIO分析 VRIO分析とは、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、組織(Organization)の略。3C分析の中のCompany:自社にあたり、自社を深掘り、経営資源にフォーカスした分析手法で市場のチャンス(他の企業にはない、自社ならではの強み)を見つけるための分析でもあります。 PEST分析 PEST分析とは、Politics(政治)、 Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つの視点から分析するため、4つの英単語の頭文字を取った名称。主に景気や政治情勢、法律の改正などといった企業にとっての外部環境を分析することに特化したフレームワーク。PEST分析によって「マクロ環境」「市場環境」「競争環境」などの外部環境を分析することで、現在または将来的にその外部要因が事業にどのような影響を与えるのかを予測することができるようになります。PEST分析の目的は、外部環境分析を行うことです。外部環境分析は、自社でコントロールできない「マクロ環境」と、自社でコントロールできる「ミクロ環境」に分けることができますが、PEST分析はミクロ環境分析となります。新規事業では、まだ事業の基盤がしっかりと確立していないことが多いので、外部環境の変化によって大きなロスが出る可能性があります。そのため、外部環境を把握しておくことが重要となります。 3C分析 3C分析とは、Customer(市場・クライアント)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字をとった名称。3C分析は、ビジネスを行っていくにあたって市場の関係性を理解するためによく使われるフレームワーク。 MVV分析 MVV分析とは(ミッション、ビジョン、バリュー)の略。組織が社会において存在する意義や役割を定義し、メンバーで共有するためのフレームワーク。MVV分析は、企業やプロジェクトの存在価値や方向性を定めるときに重要で、新規事業を起こしたり、会社を新しく作ったりするときに大事な分析です。ミッション(使命)とは、果たさなければならない役割、社会に提供する価値、存在する意義を表したもの。ビジョン(将来像)とは、将来のあるべき姿や中長期的に目指す目標像を、その会社に関わる誰もがイメージが湧くように表現したもの。バリュー(価値)とは、何を大切にしてミッションやビジョンを実現するのか、行動指針や姿勢を表したもの。 ペルソナ分析 ペルソナとは、「対象としたいユーザー像」や「架空クライアント」を意味します。架空クライアントの満足度を高めるには、顧客の視点で事業開発をしたり、製品の設計やサイトを改善したりすることが大切です。架空の人物が実際にいるかのように、年齢や性別などの情報を設定し、具体的に戦略や指針を検討するために用いる枠組みのことです。想定した人物の精度が高ければ高いほど、成功率も上がります。そのためには、事前に綿密な調査や情報収集が必要となります。 SCAMPER(スキャンパー)分析 SCAMPER法とは、最初からアイデアを生み出すためのものではなく、既存のアイデアを別の角度から捉えたり、より良いものにしたりするために用いる枠組みのことです。SCAMPER法を実施するには、7つの質問に答えていく必要があります。Substitute(サブスティテュート)(代用する)人や材料、作り方、場所などさまざまなものに対して代わりに何か(誰か)使うことはできないかなどを問います。他にどのような素材を使うことができるか、代わりに使える場所はないか、など。Combine(コンバイン)(組み合わせる)組み合わせることで新しい効果や価値を生み出すことがないかを考えます。質問例としては、何と組み合わせることができるか、どれだけの応用が可能か、など。Adapt(アダプト)(適応させる)過去のアイデアや成功事例、類似している商品やサービスを新しい状況に適応させられないかを考えます。質問例としては、他に使用方法があるか、過去のアイデアを参考にすることはできるか、など。Modify(モディファイ)(修正する)大きさや形、色、動作などを変更していくことで新しいものを生み出します。場合によっては誰でも使えるようにシンプルな商品に修正することも含めて考えることが重要になります。 質問例としては、大きさの変更は可能か、ユーザーにとって必要な変更は何か、など。Put to other uses(その他の使い道)Put to other uses(その他の使い道)とは、本来とは異なる使い方をすることで有効活用できないか、新たなニーズに対応することはできないかを考えます。この項目は新たなビジネスチャンスを生むために重要なものです。Eliminate(エリミネイト)(取り除く)Eliminateとは、商品やサービスの機能や仕組みなどを絞りこむことを指します。質問としては、何を取り除くことができるか、最低どの程度の部品があれば機能するか、など。Rearrange・Reverse(リアレインジ・リバース)(並べ替える・逆にする)商品やサービスの順序や手順、立場など入れ替えて考えてみる項目です。質問項目の例としては、順序を逆にしても可能であるか、並べ替えをしても可能であるか、など。 4P分析 4P分析とは、自社の製品・サービスの市場上での課題を再確認する時に用いる枠組みになります。この枠組みを使用することで、自社製品の現状を客観的に分析することが可能になり、事業の見直しにも役立ちます。要素である4Pは以下の4つになります。Product(プロダクト):製品Price(プライス):販売価格Place(プレイス):流通Promotion(プロモーション):販売促進クライアントに製品を認知させ、販売を促進させるためには、4Pの全てをバランスよく実行することが必要です。 4C分析 4C分析とは、クライアントの視点で捉えた商品・サービスを分析する方法になります。市場視点で分析する「4P分析」と合わせて活用することで、より大きな効果を発揮します。要素である4Cは以下の4つです。Customer Value(カスタマー・バリュー):クライアントの価値Customer Cost(カスタマー・コスト):クライアントが支払う費用Convenience(コンビニエンス):利便性Communication(コミュニケーション):クライアントとのコミュニケーションクライアント目線で考えることで、クライアントのニーズや利点がどのようなものなのかを把握することができます。4C分析は、事業構築段階においても自社のサービスや製品がクライアントに与える利点を確認することができるので有効になります。 ファイブフォース(5フォース)分析 ファイブフォース(5フォース)分析は、業界全体の価格バランスの状況を客観的に分析することができるフレームワーク。収益の仕組みや、他社の脅威を正しく認識し、今後の方針を決定するときに有効な方法です。以下の5つの要因によって業界全体の製品の収益が決定します。売り手の交渉力部品や原材料などの売り手が強い交渉力を持っている場合、収益性が低くなってしまいます。売り手が生産や販売市場を支配している状態である場合や、独占的技術を持っている場合、売り手の交渉力の方が高いため、買い手は高い価格での取引を受け入れざるを得ません。買い手の交渉力買い手(クライアントやユーザー)の交渉力が強いと、売り手は価格を下げることを要求されるため、収益の拡大には繋がりません。強大な購買力を持った買い手に販売する企業は、大きな収益を挙げることは一般的に難しくなってしまいます。競争間の敵対関係業界内における競争のことを指します。通常、販売市場を支配している状態が進んでいれば競争は穏やかです。しかし、同程度の規模の企業が複数乱立している場合、業界内の競争が厳しくなってしまいます。新規参入の脅威新規参入は、競合企業の増加を招くため、業界内の競争に影響を与えます。新規参入が簡単なな業界では、業界の収益性が向上してもすぐに参入者が増加し、収益性が下がってしまいます。代替品の脅威ユーザーのニーズを満たす既存製品以外の製品が現れたとき、業界の収益性が低くなる可能性があります。より機能の高い代替品に押されている場合、収益性は低下してしまいます。 プロダクトライフサイクル 市場の時系列による売り上げの変化を明確にするフレームワーク。導入期:新製品やサービスを市場に導入した直後の時期成長期:市場成長率と売上高が上昇し、クライアントに製品が浸透する時期成熟期:ニーズが頭打ちとなり、市場の拡大が見込めなくなってきた時期衰退期:製品やサービスの需要が減少し、売り上げや利益が落ち込んでいく時期4つの時期の特徴を自社にあてはめ、事業の改良や修正、さらに今後の戦略の検討にも活かすことができます。ECRS(イクルス)業務のプロセスを4つの視点から改善していく枠組みで、ECRSの4原則とも呼ばれています。生産性を高めたい、効率よく業務を進めたい場合に適しています。4つの原則Eliminate(エリミネイト):不要な業務を排除Combine(コンバイン):重複している業務を1つにまとめる(結合)Rearrange(リアレインジ):業務内容の順序を変更Simplify(シンプリファイ):業務の単純化この4つの原則を順序通りに検討していくことで、現在の業務プロセスを客観的に見直すことが可能になります。 PDCAサイクル PDCAサイクルとは、企業の業績向上に関する活動や、効率的な業務を行う際に用いるフレームワーク。Plan(プラン):シンプルで実現性が高い計画を立てる(計画)Do(ドゥ):計画をきちんと実行する(実行)Check(チェック):計画、達成度について、客観的に数値で評価する(評価)Action(アクション):施策の精度を高めるための改善案を考えたり、方向転換をする(改善)「PDCAサイクル」とも言われるように、1度だけでは終わらせず、定期的に何度も繰り返すことが大切です。 まとめ ①市場の調査及び分析⇒②アイデアの創出⇒③事業の構築⇒④改良・修正⇒⑤分析②…のプロセスを繰り返すことで事業の質を高めることができます。さらにフレームワークを活用することで、思考を深めることも可能です。新規事業を立ち上げるには、計画が大切です。実際に取り掛かってみて、初めて課題を発見することもよくあることですので、その際に今回の記事が参考になれば幸いです。 Tweet Share Hatena Pin it 新規事業 NFTとは何か?わかりやすく解説! マッチングサイトの作り方をわかりやすく解説! 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