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<AR>の仕組みや種類など初歩的知識を解説

 本記事ではAR(Augmented Reality 拡張現実)サービスについてその仕組みや種類などを解説します。ARは、現実世界からの情報にデジタル情報を重ね合わせ、現実を拡張する技術です。近年では広告・プロモーションでの利用から広がり、工業・産業分野での利用まで拡大しています。ARを活用したいと思う企業の担当者も多いのではないでしょうか。しかし、ARサービスの企画・開発を依頼する際には、ARについて知っておくべきポイントがあります。今回は、ARサービスを開発するにあたり最低限知っておきたい、仕組みや技術の基礎知識、開発ツールなどをご紹介します。

 

ARの仕組みをご紹介

 ARとは、簡単にいうと、カメラを通して見える現実世界の情報にデジタル情報を加えた技術のことです。

 AR開発のプロセスの順にその仕組みをご紹介します。まず、AR技術は、表示させるもの、表示させるものの位置を特定するもの、更に表示させたものへのユーザーのアクションに対してどのような反応を表示させるか指示するものに大きく分けられます。

 ARによって表示するコンテンツには、3Dキャラクター、音声や動画など色々挙げられます。これらは、コンテンツに応じた開発ツールを用いて作成します。

 次に、ARエンジンによって、作成したコンテンツを実際の空間に表示させるための設定が必要です。ARエンジンは、ARにおいて必要な位置情報を認識したり、計算したりする機能を備えているもので、作りたいコンテンツによって選ぶことができます。

 さらに、ユーザーが作成されたコンテンツに対してできるアクションや、そのアクションでどのような情報が表示されるかは、プログラミング言語の指示によります。ARエンジンや開発ツールに使用するプログラミング言語は異なりますが、プログラミング言語不要で、独自の開発テーブル操作により開発できるツールもありますので、検討してみても良いでしょう。

 そして、ARはユーザーが見ることができて初めて完成です。ユーザーがARを見るには、何らかのアプリを入れたデバイスが不可欠です。そのため、当該アプリも、ARサービスにおいて開発しなければいけません。ARを表示できるデバイスとしては、身近なスマートフォンやタブレット、他にもAR専用のウェアラブル・アイテムが挙げられます。

ARのタイプその1 ロケーションベースAR

 ARにも様々なタイプがあります。ロケーションベースARとは、GPSや加速度センサー、電子コンパス等を利用し自己位置を特定したうえで、周辺情報をスマホ画面にデジタル情報として合成表示するタイプのARです。ロケーションベースARは仕組みが複雑ですが、多彩なARサービスを提供できる強みがあります。例えば、ロケーションARでは、輝度センサー(センサーの設置された周辺の明るさに応じて光の強さを検出し、電流や電圧を発生させて、デジタル信号として明るさを出力できる小型の機器。)や圧力センサーなどによって認識したデータを元に、表示させる情報を変化させることができます。そのため、リアルタイムでコンテンツを変動させることができます。ロケーションベースARは特定の場所をもとにAR表示をするため、天候悪化などの環境の変化に左右されずに安定・持続的なARコンテンツを提供することができます。後述するビジョンベースARがマーカーとなるオブジェクトが必要になって体裁がアンバランスになることがあります。しかし、ロケーションベースARではそのような欠点はなく、広範な屋外エリアでARコンテンツを提供したいときや、多数のオブジェクトを出現させる際などに活躍します。

ARのタイプその2 ビジョンベースAR

 ビジョンベースARとは、カメラから取得した画像認識、空間認識に関する技術を利用し、現実の環境を解析し、デジタル情報を表示させるタイプのARです。企業のAR活用例として、ビジョンベースARを採用しているものは多く見られます。ビジョンベースARは、比較的簡単な計算によってAR表示が可能で、例えばARがついた名刺の作成など、誰でも容易にAR技術を体験できるサービスがたくさんあります。このように、ビジョンベースARは屋内での利用や、紙面に適したものです。最近では、現実世界と見分けがつかないほど精度の高いAR表示が可能となり、技術も目覚ましく進歩しています。もっとも、マーカーを必要とすることから、見栄えが悪くなることもあります。ビジョンベースARは、さらにマーカー型とマーカーレス型の二つに分類されますので、以下にご紹介します。

①マーカー型

 マーカー型とは、事前にマーカーを登録し、そのマーカーを認識することでARを表示させるものです。このマーカーがあれば環境の変化に左右されずに安定したARを表示させることができます。また、単純な形状で枠線があることから認識が簡単で、計算も素早く、スムーズにAR表示が可能となるメリットもあります。

②マーカーレス型

 マーカーレス型とは、平面のイラストや画像の特徴をマーカーとして認識するタイプのARです。背景に変化がない場合、人物や製品、建造物も画像認識することができ、様々な条件でARを出現させることが可能です。対象物の外見に変化を生じさせずにARを表示させることも可能です。ただし、表示結果を安定させるためには、明確に識別可能な対象をマーカーとする必要があります。また、マーカーレス型は空間や物体に関する専門知識が必要なので、初心者には不向きな技術といえます。

AR技術について

 ARの技術を、ARエンジン、開発プラットフォーム、コンテンツに分けてご紹介します。

 ARエンジンは、AR実現のための基本的なソフトウェアのことです。複数の会社によって開発されており、それぞれの性能や出来ることが違ってきますので、用途に応じたエンジンの選択が必要です。このARエンジンで、前述の画像認識や座標軸の計算などを行うことができます。ARエンジンはソフトウェアのSDKとして提供されており、有償のものもありますが、無償で利用できるものもあります。

 開発プラットフォームは、ARエンジンで認識した位置情報等とは別に、機能制御やアプリのユーザーインターフェースに関する部分を作ります。また、動画、3DCGや音声のコンテンツを作成し、それぞれを連携させることでARを表示させます。

 また、一般的には、コンテンツを取得するためにクラウドサーバーと連携するタイプのARが多いです。AR技術は、データベースから送られるコンテンツ領域と、それを表示させるデバイスなどのハードウェア領域から成り立っています。一方の技術が進歩しても、もう一方の技術がそれに対応しない場合、ARの技術自体は進歩しません。そのため、最適なARコンテンツの開発環境や技術を検討するには、ARエンジンや開発ツールを知るだけでなく、最新デバイスの機能を知っておくことが不可欠です。

ARアプリ開発ツールについて

 ARアプリの開発ツールは、大手企業から提供されているものも多いです。ここでは、ARアプリ開発ツールについて、簡単にご紹介します。

 グーグルが提供するARCore、Appleが提供するApple AR Kitは、それぞれに対応するスマートフォン機種に応じて最適化されています。特定のデバイスに対象を限定することで、ARアプリを簡単に設計できるようになっているのです。

 また、AmazonのAmazon Sumerianは、AWSの一部としてAR作成のプラットフォームが提供されています。このSumerianは、複数プラットフォームに対応し、特徴としてプログラミング言語が不要ということが挙げられます。

 SNSとして有名なSnapChatやFacebookなどのアプリでは、ユーザーを対象に独自のARスタジオを提供しているケースもあります。一般のユーザーも利用できます。もともとこれらのアプリでは、カメラを使う機能があるため、ARを活用した画像加工・顔認識のサービスをユーザーを対象に提供することで、豊富なユーザー体験を提供できるのです。

 ARの開発環境は多くの企業や、様々な提供形態で広がっています。多彩な選択肢のなかから、自社の目的や用途に合った適切な開発ツール選びが求められています。

ARクラウドについて

 ARクラウドとは、現実空間の場所とデジタル情報を結び付けて保存、管理することをいいます。ARクラウドは、まだAR技術で実現ができていない機能を可能にできると期待されています。例えば、ユーザーがARで表示した情報に対して影響を与えられる範囲は限定的です。また、同時多発的に同じARに複数人が関与できるサービスもあまり事例がありません。ARクラウドは、こうした従来のARにはできなかったことを可能にする、新しい世代のARサービスの象徴ともいえます。

 過去にARクラウドに近いサービス事例が存在しました。「セカイカメラ」と呼ばれるもので、あらゆる物にエアタグをつけ、全てのユーザーがARの情報をシェアできるサービスでした。簡単にいうと、スマートフォンなどのデバイスを空間にかざすと、そこに映った世界には人々のコメントやエアタグが表示されます。 「セカイカメラ」はARサービスの最先端として提供が開始されました。しかし、ユーザーが誰でもAR上で情報をシェアできることで、逆に情報に埋め尽くされた世界となり、非常に窮屈なサービスとなってしまいました。このようなことからも、現在はサービスが終了しています。

 しかし、ARクラウドは、「セカイカメラ」に見られた課題を克服した、複数人でARコンテンツをシェアできる技術として期待されています。ARクラウドが普及すれば、よりユーザー同士が関わり合いを強められる、ソーシャルなAR体験が可能となる日も近いでしょう。

 ARクラウドに関する動向として、日本では2019年4月、国内初の点群データを用いたARクラウド展示が開催されました。ここで、5~10人程度のユーザーが同時にAR空間に表示されている町を設計していくという体験が実現されました。ユーザーの互いの行動が世界に変化を加えていくことが、従来のARでは体験できないものでした。複数の人間が同時に参加できるソーシャル的な側面を持つAR体験は、ユーザーの心をとらえ、話題性を集めることも期待できます。今後もARクラウドの活用が益々期待されます。今後ARを用いたサービスを提供しようと考えている方は、このような新世代型ARのトレンドも視野に入れておくことが重要でしょう。

まとめ

 この記事では、ARサービスを開発の際に知っておくべきARの仕組みや技術の基礎知識、開発ツール、次世代AR技術などについてご紹介しました。AR技術の骨格を知ることで、ARでどんなことができるのか、また目的に合わせたAR開発にはどのような点を考慮すれば良いのか、大まかにお分かりいただけたのではないでしょうか。ARサービスの開発には、AR開発の目的が何かはっきりさせることが大切です。目的に合った開発ルールやコンテンツを選択して、最適なARサービスを提供しましょう。

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