マッチングサイトの成功に必要なこと
この記事は、これまでもマッチングサイトを構築したけど上手くいかなかった、新しくマッチングサイトをスタートさせたい方、方に向け、
・マッチングサイトが失敗する理由
・マッチングサイトの開発を始める前にやるべきこと
・マッチングサイトの立ち上げ方
について詳しくご紹介する記事です。
マッチングサイトが失敗する理由
新規事業として、お客様にマッチングサイトを提供してきた方もいるかもしれません。しかし、新規契約のお客様を定期的に獲得できるものの、契約後1年未満で解約に至る割合が非常に高い、という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。実は、マッチングサイトの大きな課題として挙げられるのは、解約率の高さです。具体的には1年以内に約5割が撤退し、約4割は事業継続しているものの全く売れず、事業として成立しているのは1割程度に過ぎないと言われています。すなわち、マッチングサイトの9割は失敗するのです。
失敗の原因として挙げられるのは、①サービスの提供者を集めることができなかった、②サービスの提供者は集まったものの、利用者を集めることができなかった、③ユーザーを集めることはできたが、ほとんどマッチングが成立しなかった、というものです。端的に言うと、そもそもサービスにニーズがなかったということになります。
「誰の」、「どのような課題」を解決するのかが大事
せっかく多くの時間と労力をかけてマッチングサイトを立ち上げたものの、誰にも利用されずに短期間であきらめざるを得ない、こういった失敗が繰り返されるのはなぜでしょうか。それは、サービスにおいて「誰」の「どんな課題」を解決するかを明確にしていないからです。このことは、マッチングサイトに限らず、新規事業において最も大事なことでもあります。この2つが曖昧なままでは、延々に、誰にも見向きもされないビジネスを生み出すことになります。
さらにマッチングサイトでは、サービスの提供者(売り手)と、サービスの消費者(買い手)という二種類の顧客が存在します。性質のまったく異なる顧客の課題を、同時に解決することは簡単ではありませんから、ECなど他の業態と比較しても極めて難易度が高いサービスです。
サービスの立ち上げの前にやるべきこと
ここからは、あなたがある知識やスキルを提供したいユーザーと、それを利用したいユーザーをマッチングするサービスの立ち上げを考えている起業家や新規事業担当者だとします。
アイデアを思いつきすぐにシステム開発に着手したくなると思います。しかし、その前に、失敗しないため以下6つのステップを踏んで「誰」の「どんな課題」を解決するのかを明確にしましょう。
1 立ち上げる動機の確認
2 顧客と課題の仮定・検証
3 課題の存在の確認や重要度の評価
4 課題とマッチングサイトの親和性
5 市場規模の検証
6 最初に投入する市場の選定
1 立ち上げる動機の確認
マッチングサイトの立ち上げ前にまず確認すべきは、取り組むのは共感できる課題であるか?という点です。マッチングサイトで解決する課題は、あなた自身が心から解決したいと望んでいるものである必要があります。
というのも、先にも触れたように、マッチングサイトは難易度の高いサービスです。そのため、マッチングサイトを成功に導くには多大な労力を要し、軌道に乗せるまでモチベーションの維持が必要不可欠なのです。単に「儲かりそう」というだけでマッチングサイトを始めても、途中で投げ出したくなるかもしれません。なぜ他の誰でもなく、自分がこの事業をやるべきなのかという問いに対して明確に答えることができなければ、そのマッチングビジネスに手を出さない方が良いでしょう。
2 顧客と課題の仮定・検証
取り組むのは共感できる課題であることを確認できたら、次に「誰」の「どのような課題」を解決するのか、仮説の構築と検証を行いましょう。ステップは以下のとおりです。
①初期ユーザーの仮説の選定
②顧客課題の仮説の選定
③ユーザーインタビューによる仮説の検証
順に追ってご説明していきましょう。
① 初期ユーザーの仮説の選定 あなたの顧客は誰か?
新規事業を立ち上げるうえで重要なのが、「エヴァンジェリストユーザー」や「アーリーアダプター」と呼ばれるような、あなたのサービスに真っ先に飛びついてファンになってくれるユーザーです。少数でも良いので、あなたのサービスに熱狂し、ヘビーユーザーとなって、他の人にもあなたのサービスを自発的に紹介してくれるようなユーザーを見つけることがサービスを成功させるために必要不可欠です。あなたのサービスにとってのエヴァンジェリストユーザーは誰なのかを、ユーザーの人物像、ユーザーの心理状況、ユーザーの行動から仮説を選定して浮き彫りにしていきます。
ユーザーの人物像となるペルソナを作成する
まず、エヴァンジェリストユーザーとなるユーザーの人物像 = ペルソナ を作成します。このとき、ペルソナは「30代女性・主婦」「50代男性・会社経営者」のようなあいまいなものではなく、氏名・年齢・性別・居住地・趣味・年収など、属性を細かく設定します。実在する1人の人間のように詳しくペルソナを設定することがポイントです。そして、このペルソナは、仮説の検証プロセスを通じて、アップデートしていくものになります。なお、ペルソナは1人ではなく、エヴァンジェリストユーザーとなりそうな複数のユーザー像を作成しましょう。
ユーザーの心理状態 エンパシーマップ (共感マップ)を作成する
続いて、作成したペルソナが持つ心理状態を深く掘り下げるためエンパシーマップ(共感マップ)を作っていきます。エンパシーマップには、
・See : 見ているもの
・Hear : 聞いていること
・Think/Feel : 考えていること・感じていること
・Say/Do : 言っていること・行動していること
・Pain : 痛み・ストレスに感じていること
・Gain : 得たいもの
というペルソナの心理状態を書き出していきます。これによりペルソナに人格を与え、より顧客の視点に立ってサービスを考えることができるのです。
ユーザーの行動 カスタマージャーニー を作成する
具体的なユーザーの人物像と心理状態が仮定できたら、そのユーザーが取る行動を書き出すカスタマージャーニーを作成します。
例えば、あるユーザーと商品購入を題材にすると以下のような流れです。
顧客のフェーズ | 悩み | 関心 | 比較検討 | 受取り | リピート |
顧客の行動 | SNSや検索エンジンで調べる | SNSをフォローしたりコメントをする | SNSや口コミ、複数の商品ページを比較のうえ購入 | 商品をいレビューを書いたりSNSで共有 | 定期購入する、同じブランドを購入する |
顧客心理 | 美容の悩みがある | 悩みを相談したい | 本当にこの商品で悩みが解決するか | 商品に満足。口コミを書いてみよう | また商品をリピートしたい |
企業活動 | SNSなどでユーザーから質問を募集 | 顧客が持つ悩みを受け取り、反応する。SNSのDM、LINEでの返信等。 | 口コミをレビューへ掲載 | 商品の同封物に他のユーザの口コミも同封。SNSでの拡散を促す | SNS等の顧客のフィードバックから商品を改良する |
ここまで、「誰があなたのサービスの顧客なのか?」についての仮説の選定について解説してきました。ここで、注意しなくてはならないのが、マッチングサービスには、サービスの提供者とサービスの消費者という二種類のユーザーが存在するという点です。すると、エヴァンジェリストユーザーに関する仮説も、「売り手」と「買い手」の二種類構築する必要があります。他のビジネスモデルと比較して倍の手間がかかります。しかし、的外れなサービスを開発してしまうことを避けるため、是非取り組んでみて下さい。
②課題の仮説の選定 あなたの顧客が抱えている課題とその前提条件は?
ユーザーの課題仮説が具体化されたら、ジャベリンボードを使ってその仮説を検証していきます。
ジャベリンボードとは、①カスタマーは誰か?、②課題は何か?、③解決策は何か?、④ 課題仮説が成立する前提条件は何か?という4つの要素をもとに仮説を立て、顧客候補へのインタビューを通じて課題を検証するツールのことです。ジャベリンボードを使って課題の精度を上げます。この一例を紹介します。
① 顧客は誰か
「顧客は誰か?」という問いでチームでブレストします。「最もらしい顧客」と考えられるものを一つ選び、「カスタマー」列を作ってそこに書いていきます。「都内に住んでいる40 代後半の女性」のように、具体的なペルソナにできると良いでしょう。
② 顧客の課題は何か?
①で選んだ顧客が抱える課題は何か、チームでブレストし、そのうち「顧客の課題」を一つ選んで、「問題」列を作って記載します。解決策の方向性が定まっていく場面のため慎重に決めましょう。
③ 解決策は何か?
顧客と課題を設定したところで、「有効な解決策」をチームでブレストし、「有効な解決策」を一つを選び、「ソリューション」列に書いていきます。
④ 前提条件は何か?
顧客・課題・解決策を設定した後、検証する前に「前提条件」を決めます。「前提条件」とは、顧客・課題・解決策をひとまとめにした仮説が、成立する条件です。例えば、「顧客は〇〇が欲しい」という課題を設定したのに、実際には〇〇に相当するものが既に存在した場合、この前提条件は成り立たないため、別の前提条件への変更が必要となります。前提条件も、ブレストを通じて、一通りリストアップしてみると良いでしょう。その際、「前提条件が欠けたときのダメージの程度」「前提条件は正しいか」を軸にマッピングを行います。「前提条件が崩れた時のダメージが、かつ検証が必要な前提条件」を取り出し、「最も不確かな前提条件」列に記載します。
⑤ 検証方法・基準を決める
最後に、④で選んだ前提条件の検証方法と基準を決めます。検証方法については、Web検索で済む場合もあれば、ターゲット顧客の声が必要な場合もあるので、その際はアンケートやヒアリングを実施します。検証基準は、明確で定量的な基準にしましょう。ここまでのプロセスを何度も繰り返し、精度を高めていきます。
③ユーザーインタビューによる仮説の検証
ようやくサービスが「誰」の「どんな課題」を解決するサービスであるかという「仮説」と、前提条件が明確になりました。次のステップでは、仮説の検証のためユーザー候補に直接確認します。
インタビューは、あなたのサービスに真っ先に関心をもってファンになってくれる可能性のある「エヴァンジェリストユーザー」に行う必要があります。エヴァンジェリストユーザーとは、①予算取得済み又は予算の獲得が容易、②別の製品の寄せ集めでかろうじてソリューションを持っている、③積極的に別の解決策を探している、④課題を認識している、といった要素をみたしているユーザーです。
とはいっても、エヴァンジェリストユーザーはどうすればみつかるのでしょうか?
インタビュー相手を見つける必要がありますが、様々な方法があります。
・既存のユーザー候補がサービスを販売しているサービスを利用する(ココナラ、ストアカ 、ビザスク、タイムチケットなど)
・関連業界のカンファレンスや展示会
・関連業界のユーザーが集まるオンラインコミュニティ(Facebookグループなど)
・現場(例:パーソナルトレーニングのマッチングサービスならフィットネスジム)
・勤務している会社の同僚、関連業界に勤務している知人に依頼する
これらの方法を利用すれば、きっとインタビュー候補を見つけることができます。
では、エヴァンジェリストユーザーをどうやって見極めれば良いか?その質問の仕方とは
インタビューにおいて以下の質問への明確な回答がある場合は、エヴァンジェリストユーザーであるといえるでしょう。
課題を解決するためにどのような方法を利用しているか?
その方法に不満なことはあるか?あるとして何か?
課題を解決できるならばいくらの予算の確保が可能か?
全くないこれらの質問に回答のないユーザーはエヴァンジェリストユーザーである可能性は低いため、インタビューは早く切り上げて別のユーザーを検討すべきでしょう。
ユーザーインタビューのポイント
エヴァンジェリストユーザー候補を選定して、いよいよユーザーインタビューを行います。ユーザーインタビューの主なポイントは次の通りです。①創業者自らがインタビュー、②1対1で行い、グループインタビューはしない、③必ず「売り手」と「買い手」両方にインタビュー、④エヴァンジェリストユーザーを見極める質問(上記参照)をして適切な相手か見極める、⑤思い込みを捨てて傾聴、⑥作成したカスタマージャーニーが正しいか答え合わせ(本当に作成した手順の通りに行動しているか)、⑦意思や感想では無く行動を尋ねる、⑧態度やしぐさなど非言語コミュニケーションに注目、⑨相手の語ったことの奥にある意味をくみ取る
ユーザーインタビューには技術が必要で、質問者の技量が問われます。起業家や新規事業担当者は、ユーザーの本音を引き出し、課題仮説の検証に役立てるためインタビューの技術を磨いておくべきです
仮説を修正しインタビューを繰り返す
ユーザーインタビューを行うたびに、課題仮説やその前提条件を検証、修正していきます。これによって、ユーザーのイメージ、つまり、ペルソナやカスタマージャーニーが明確になり、フォーカスすべき課題が見えてきます。根気強く、仮説構築と検証を繰り返しましょう。売り手と買い手を的確にセグメントすれば、インタビューは、数組で足りる場合もありますし、手間と時間を考えればこれくらいのインタビュー人数になるように目指すべきでしょう。
3 課題の存在の確認や重要度の評価
ユーザーインタビューが終了し、共感できる課題であること、「誰」の「どのような課題」を解決するのかが明確になったことを確認できたら、その課題は実際に存在し、ユーザーが誠実に解決したいと考えているか?を検証します。具体的には、①課題が成立する前提条件があって、課題が実在することが確認できたか、②課題はユーザーにとって重大なものか、③ユーザーは既存の代替案で十分だと感じていないか、を評価しましょう。もし、前提条件が否定され、課題は成立しなかった、課題は存在したがユーザーにとっては大きな問題ではなかった、ユーザーは既存の代替で解決し、特に不満はなかった、などの結論に至った場合、ビジネスをスタートする必要はありません。
心に留めていただきたいのは、時間やお金を無駄にすることを回避できるのですから、撤退も大きな成果である、ということです。
ビジネスに固執してしまい、インタビューにおいて相手に無意識に誘導尋問を行い、ユーザーの課題をでっちあげてしまったり、ユーザーの使っている代替案を過少に評価してしまうことは避けましょう。
4 課題とマッチングサイトの親和性
次に、マッチングサイトがその課題を解決する最適な方法なのか?ということを検証します。マッチングサイトが価値を提供できるものは次の3点です。
①情報の集約 点在していたサービスの提供者を一箇所に集めてまとめて比較や検索をしやすくする
②資産の活用 空いているスペースや稼働していない時間を販売する機会を提供する
③中間プロセスの排除 売り手と買い手を直接繋げられる
こうしたマッチングサイトの特性では解決できない課題が、検証の結果明らかになったとします。その場合はそのマッチングサイトに固執せず、別のサービスを検討すべきでしょう。
5 市場規模の検証
次に、市場規模は参入に値するものか?という点の検証が必要です。目標としている利益を確保できる市場規模は、そもそも存在するのか考えましょう。
市場規模を評価する際には、フェルミ推定という推定方法を使って、①TAM (Total Addressable Market) ある商品やサービスの総需要、②SAM (Serviceable Available Market) ターゲティングした顧客セグメントの市場規模、③SOM (Serviceable Obtainable Market) アプローチして獲得できるであろう市場規模、の順に算出します。例えば、東京エリアを対象とした英会話のパーソナル講師とユーザーのマッチングサイトを検討している場合の各市場規模(年間)は、・TAM : 国内のパーソナルトレーナーの総数 x レッスン単価 x 月間レッスン数 x 手数料率 x 12、・SAM : 東京のパーソナルトレーナーの総数 x レッスン単価 x 月間レッスン数 x 手数料率 x 12、・SOM : 東京のパーソナルトレーナーの総数 x レッスン単価 x 月間レッスン数 x 手数料率 x 自社の市場シェア x 12、のように推定できます。
もとになる講師の総数やレッスン単価といった変数は、官庁、リサーチ会社、業界団体などが出しているレポートを参考にすれば良いでしょう。
必要な市場規模は?
それでは、アプローチして獲得できるであろう市場規模(SOM)を推計できたとして、それがいくらであれば参入すべきでしょうか。それは、あなた自身の目標の大きさに比例します。年間1億円の売上げたいのであればSOMは1億円以上必要ですし、年間1000万円の売上でよければSOMも1000万円以上となります。また、成長を続けている市場であれば、現在は小さくても数年後には十分な規模に成長している可能性があるので、市場の成長規模も前提に決める必要があります。5~10年後の市場規模についての見通しを立てて参入を検討しましょう。
6 最初に投入する市場の選定
まずは、小さいマーケットの独占を目指す
サービスを開始する段階では、ターゲットユーザーは可能な限り絞り込むべきです。例えば、「パーソナル英会話講師に関するマッチングサイト」を立ち上げる過程で、英会話業界の中でも、キャリアについて悩んでいるが講師が多い、英会話講師が最も多く働いているのは東京23区内、英会話を学びたいユーザーが最も多いのは東京23区内、求める英会話レベルでは日常会話レベルであることが判明したのであれば、まずは、東京の英会話講師で日常会話を教えられる人材、東京で日常英会話を取得したいユーザーのマッチングサイトとしてスタートできないかを考えます。
繰り返しになりますが、サービスを軌道に乗せるには、あなたのサービスに熱狂し、他の人にもどんどんサービスを紹介してくれる「エヴァンジェリストユーザー」が必要不可欠です。「英会話に関するマッチングサイト」では間口が広すぎて、メインターゲットである「東京23区内の英語講師と英会話志望者」の関心を引くことはできないかもしれません。メインターゲットの心を掴めないようでは、他のユーザーの獲得も難しいです。まずはメインターゲットに激しくアピールするため狭く・深いサービスとしてスタートしましょう。
ターゲットの絞り込み方
そこで、ターゲットとなるユーザーの絞り込みでよく使われるのが次の4つの基準です。それは、人口動態(年齢や性別、家族構成や職業など)、地理(国や都市、市区町村など)、心理(ライフスタイル、価値観など)、行動(サービスの利用形態、利用時間帯など)です。ユーザーインタビューを通じてペルソナをアップデートを通じて、これらの基準を踏まえたターゲット像が浮かび上がるはずです。なお、ターゲットを絞り込みすぎてサービスの提供者が集まらないなど、サービス開始に支障がでる場合には、「エリアを東京ではなく関東にする」など、対象となるターゲットを徐々に広げていきましょう。「選択肢の多さ」はマッチングサービスの重要なポイントですので、最低でも20~50名程度のサービスの売り手を確保した状態でスタートすることを目指しましょう。
マッチングサイトの立ち上げ方
以上のステップを終えてから、いよいよ市場に投入するマッチングサイトの開発に着手する体制が整いました。
「MVP」を市場に投入して「PMF」を目指す
ここまでのステップで実施してきた<仮説を設定、検証し、ユーザーからのフィードバックで改善する>というサイクルは、マッチングサイトを開発するときにも実施します。目指すべきは PMF (Product Market Fit)、あなたのマッチングサイトが熱烈にエヴァンジェリストユーザーに支持されている状態です。
最初から完璧な製品を世に出す必要はありません。必要なのは、MVP (Minimum Viable Product): ユーザーから受け入れられる必要最小限の機能をもった製品をいち早く市場に投入し、フィードバックを元にPMFを目指し改善を続けることです。
・マッチングサイトにとってのMVPとは?
マッチングサイトのMVPとして求められる条件は、①マッチングサイトとして必要最小限の機能がある、②開発に時間がかからない、③開発費用を抑えることができる、④ユーザーからのフィードバックを元に修正し拡張できることです。これらの条件のため、カスタマイズに対応したマッチングサイト構築パッケージを利用したMVPの開発をおすすめします。
・マッチングサイト構築パッケージとは何か?
マッチングサイト自体は、既にたくさんあるサービスです。そして、運営に必要な機能、会員の管理、出品管理、決済機能などはほぼ共通しています。そのため、マッチングサイトに必要な機能をパッケージ化したソフトウェアやWebサービスを様々な企業があり、マッチングビジネスを始めたい人に販売しています。こうしたパッケージを活用して、コストを抑えながらマッチングサイトを立ち上げることで効率的にPMFを目指すことができます。
・パッケージ選びのポイント
・必要な機能があるか…自社マッチングサイトに必要な機能はあるか、オプションの場合はその料金
・費用…初期費用と月額費用の金額、保守費用など追加料金の有無
・運用…自社サーバーで運用 又はパッケージ会社が提供するサーバーなどで運用
・カスタマイズ…独自機能が必要になった場合に対応してもらえるか、カスタマイズの費用と納期
・マッチングサイト構築パッケージ9選
1 シェアマッチ
エネセーブ株式会社が提供するマッチングサイト、社リングエコノミーを構築できるパッケージサービスです。低価格で結果の出せるサービスを構築したい場合におすすめです。
2 Mallento
株式会社マレントが提供する、ECマッチングサイト構築パッケージシステムです。フリマサイトやライブ配信システムなども構築できます。
株式会社カスタメディアが提供する、マッチングサイトやシェアサイトの構築パッケージです。コストと運用安定性が高く、既に各機能を持つマッチング・パッケージをベースに構築できます。
4 サクットマッチ
株式会社セルバが提供するパッケージで、スペース、スキル、モノの3つを共有しあえるマッチングサイトを構築できます。
株式会社プラグマティック・テクノロジーズの提供する、マッチングサイトを手軽に始められるサービスで、検索やメッセージ機能など、マッチングサイトに必要な機能が充実しており、カスタマイズも柔軟にできます。
株式会社パルムゲートが提供する、BtoB、BtoCなどに特化したWebパッケージで、拡張を前提とした設計となっています。
株式会社ウェブスクウェアが提供する、必要な機能を豊富に盛り込んだ汎用性の高いパッケージで、初回買い切りで月額費用はかからず、カスタマイズ可能なライセンスで、同業他社へのカスタマイズ依頼も制限されていません。
8 mekuma
・デモサイトを作ってユーザーにインタビュー
マッチングサイト構築パッケージで作成したサイトが動作するようになった段階で、ダミーのデータを登録しデモサイトを作成します。ここでのポイントは、質・量ともにサイトが実際にオープンした時と同じレベルのデータを登録しておくことです。特に、売り手と出品者が販売するサービスのデータについては、少なくとも数十件、本番に近いデータを使用しましょう。
さらに、デモサイトをエヴァンジェリストユーザーに利用してもらうことが有効です。デモサイトが完成したら、仮説検証の際にインタビューしたユーザーなどに「プロダクトインタビュー」を行い、ユーザーがデモサイトを利用する際の反応を観察します。このとき、責任者がインタビューを行ってユーザーの反応を直接観察する、必ず「売り手」と「買い手」双方の反応をみることが重要です。プロダクトインタビューのチェックポイントととして挙げられるのは、①今すぐこれが欲しいという反応があったか?、②何かつまづいたことはあったか?、③課題を解決できる最小限のプロダクトを明確にできたか?、④ユーザーが何をフォローしてほしいか、どのようなプロダクト体験をしたいかについて言語化できたか?ということです。
次に、インタビュー結果を踏まえマッチングサイトを改善していきます。具体的には、不足している機能、操作でつまづく点はカスタマイズにより追加・改善、不要な機能や手続きがあれば設定変更や削除、見た目の調整(フォント色やサイズ、画像の大きさなど)などを行います。
・オープン前に売り手を確保する
マッチングサイトでは運営者自身は商品やサービスの提供をしません。そのため、サイトを正式オープンする前に必ずサービスの提供者を、ある程度確保する必要があります。サービス提供者の確保は次のとおりの手順で進めれば良いでしょう。
マッチングサービスの特徴や、売り手にとっての利点をアピールするLP(ランディングページ)を作成します。
次に、PPC広告(広告リンクがクリックされたら課金が発生するタイプのオンライン広告)への出稿→業界誌の広告ページへの出稿→売り手が集まるコミュニティでの告知→インタビューなどで面識のあるユーザーに直接依頼、などの方法で、作成したLPに売り手候補を誘導します。
LP上の登録フォームにより、売り手候補となるユーザーのメールアドレスを収集します。また、<事前登録したユーザーは一定期間手数料が無料>といった、なんらかの特典をオファーすると登録を促すことができます。
④売り手向けにユーザー登録ページを事前公開
収集したメールアドレス宛に、「事前登録期間開始」などという名目でユーザー登録ページのURLを告知します。事前登録期間中にユーザー登録した人にはメールアドレスの収集時にオファーした特典を忘れずに提供しましょう。
・正式にマッチングサイトをオープンする
正式にマッチングサイトをオープンします。最初はなるべく多くのマッチングを成立させ、ファンを増やしていく必要があります。そのため、売り手確保のために実施した広告、販促活動に加え、サービスの利用者に向けたPPC広告の出稿、買い手が集まるコミュニティでの告知、プレスリリースの配信、無料または割引クーポンの発行など、買い手となるユーザーの獲得を目的とした施策を実施します。
最後に
以上のようなステップを踏まえれば、サービスが失敗に終わることを減らすことができます。
しかし、この段階ではまだマッチングサイトを立ち上げただけで、すぐにはあなたのマッチングサイトがユーザーに熱烈に支持されているという、いわゆるPMF (Product Market Fit)には届きません。PMFを達成し、さらに次の段階である事業拡大に到達するには、仮説設定・検証の繰り返しが必要です。
サービスが成功するには運やタイミングも必要でしょう。しかし、失敗には「よくあるパターン」が存在し、正しい知識や手法に基づいて対処すれば回避できるものが多くあります。この記事を参考に避けられる失敗は回避して、できるだけ早くマッチングサイトを成功に導きましょう。